ビジネス展開以上に人間描写に引き込まれる 『アキラとあきら』

2017.06.08 Thursday 04:23
0

    『アキラとあきら』 は、今や売れっ子作家の池井戸潤さんが
    2006年から2009年にかけて連載していた初期の頃の小説を
    徳間書店が文庫化し、一気にWOWOWでドラマ化される作品。
    ドラマ決定が先なのか、文庫化が先なのかは謎です。

     

    初期作品なだけに、全く違った生まれでありながら、ある
    人生の課題を共有する展開で、バンカー物ではありますが
    半沢直樹のような “ビジネス系” というよりは、ふたりの
    青年がある経営課題を乗り切る青春物的な要素があります。

     

    一人は、小さな町工場の息子として生まれ、その町工場が
    倒産してしまい苦しい生活を送ってきた山崎瑛(あきら)。
    もう一人は、それとは対照的に大手海運会社の長男として
    生まれ、親族経営の家業を継がない道を進んだ階堂彬。

     

    子供の頃、お互いクロスした瞬間があったことを知らぬまま、
    成長した二人は、あの 「産業中央銀行」 でバンカーと
    して働き始めます。入行時の新人研修での稟議書対決でも
    二人はその才覚を発揮し、その時のテーマが作品の伏線
    にもなっています。

     

    二人とも切れ者であるという点は共通していますが、
    働くスタイルは、二人のそれまでの人生経験や環境の違いが
    感じられる人物描写となっていて爽やかなイメージ。

     

    ストーリーの大きな流れとしては、階堂家の関連会社や
    彬の父の死後の社内でのクーデターなど、階堂家が経営する
    「東海郵船」 グループの融資やM&Aが中心となりますが、
    経営課題以上に、叔父や弟に対する彬の心の動きが
    見どころだと思います。

     

    時代は、ちょうどバブル前からバブル崩壊後までとなって
    いるので、それだけで読者も企業経営に降りかかる課題の
    予想がつくだけに、ハラハラ感満載。

     

    そんなメインの流れと並行して描かれる、瑛の再就職先
    での出来事や、町工場の作業員だったヤスさんの
    エピソードもちょっとした短編が挿入されているようで
    作品のメリハリとなっていました。

     

    ただ、登場する女性の描き方がややステロタイプというか、
    「どうしてこの人がこの女性と結婚したのかわからない」
    感じでした。

    ラストは、半沢直樹のように “スカッと” はしませんが、
    心温まる風景が広がっています。

     

    ドラマはダブル主役ということで、文庫についてきた
    しおりにも斎藤工さんと向井理さんが載っていましたが、
    山崎瑛は斎藤工さんの方が似合いそうだし、演じれそう
    だな〜と思って、これを書く前にチェックしたら、
    期待通りでした。ダブル主役ですが、どちらかと言えば

    山崎瑛が真の主役。おいしい役だと思います。

     

    【関連記事】
    ◇半沢と若手がタッグを組む 『ロスジェネの逆襲』
    http://nureinmal.jugem.jp/?eid=1830
    ◇素晴らしきかな製造業 『下町ロケット』
    http://nureinmal.jugem.jp/?eid=1952
    ◇『下町ロケット2 ガウディ計画』 出たー!
    http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2616
    ◇個々の思惑が交錯するエンターテインメント 『空飛ぶタイヤ』
    http://nureinmal.jugem.jp/?eid=1832

    category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

    実際の国王一家殺害事件も霞むほどの人間ドラマ 『王とサーカス』

    2017.04.13 Thursday 06:31
    0

      かなり前に読んだのに、どのように感想をまとめて
      いいのか、頭の中が整理できないくらい衝撃の作品
      『王とサーカス』(米澤穂信著、東京創元社刊)。

       

      タイトルだけ見ても、一体どんな内容かすら予想も
      つかないミスマッチさがミステリアスです。

       

      実話も絡めた臨場感あふれる展開

       

      舞台はネパールで、2001年に実際に起こった事件が
      絡んでくる内容です。その事件とは、国王夫妻の他、
      10名近い王族が、皇太子によって殺害されたものの、
      真相が未だに解明されていないリアルミステリー。

       

      とはいえ、国王一家殺害事件が起きる前の日常は、
      雑誌の編集部から、ライトな海外旅行取材を受けた
      女性記者・太刀洗万智が見たネパールの様子と、
      彼女が宿泊しているトーキョーロッジの人々が
      中心に描かれます。

       

      ネパールの文化も感じられるエッセイ的魅力も

      バックパッカーのアメリカ人や、日本人僧侶、
      兄を亡くし子供ながら外国人相手に稼ぐ現地の少年、
      フレンドリーなトーキョーロッジの人々。

       

      朝食は食べないというネパールの生活習慣や、
      もともとは水底だったのに今は水不足に悩んで
      いるという現状、宗教に対する現地の人たちの畏敬
      などなど、うっかりミステリーだというのを忘れて
      ネパールに関するエッセイ気分で読み流して
      しまったのを、後々悔み、読了してから読み直し
      するという、お間抜けさは健在です!

       

      国王一家殺害事件が起こってからは、万智は
      その真相をつかむため、混乱する現地での状況の中、
      体を張ってジャーナリストとしての取材を決行。
      そのため、情報の錯綜や紛争に巻き込まれる
      臨場感に、読者も引き込まれます。

      これまた、その殺害事件に引き込まれ過ぎると、

      ミスリードされてしまうあざとさが憎い! でも、楽しい!

       

      タイトルの “サーカス” が持つ深い意味

       

      そんな彼女に、国王一家殺害事件の際に王宮に
      いたという軍人・ラジェスワルとのつなぎができ、
      そこに出向くことに。

       

      結果はネタバレになるので避けますが、彼の経験を
      通じて痛感した、海外のマスコミに関する考え方。

       

      それは、報道により海外の悲劇を知った傍観者たちが、
      その場は同情しても、本当に悲しんでいるのはなく、
      単に “悲劇を消費していること” であり、彼は
      「この国をサーカスにするつもりはないのだ」 と
      いうセリフには衝撃を受けると同時に、私自身、
      大した取材はしていないものの、取材のあり方を
      考えさせられました。

       

      そして、そのラジェスワルと、彼女が次に会うのは、
      彼が死体となって発見された時。
      その死体の背には 「INFORMER」 の文字が。

       

      彼女と会ったがために起きた殺人事件なのか、さらに
      その裏に隠された謎があるのか、謎が謎を呼び…。

       

      人間の持つ二面性を痛感させられる真相への道

       

      ラジェスワル殺害事件の一方で、それまで気さく

      だったアメリカ人が突如引きこもり、帰国に奔走しだし、

      一緒にお茶を楽しんでいた僧侶からも頼みごとをされ、

      現地警察に引っ張られた万智は、ラジェスワルが実は

      麻薬密売にも手を染めていたと聞かされ、私の方が

      情報処理能力オーバーヒート気味。

       

      そして、意外にも 「INFORMER」 という言葉が
      事件解明へとつながっていくと共に、これまで
      隠されていた犯罪や陰謀が白日のもとへ。

       

      前半、ネパール観光気分で読んでいたためにスルー
      していた日々の出来事が実はとてもフェアなヒントに
      なっていたことが次第にわかってくるのです。

       

      現地ガイドの少年・サガルとの別れとなるカフェ
      への道が、太刀洗万智の今後手掛ける仕事の
      道標となることを願いたい気持ちにさせられました。

       

      ネパールの魅力から始まり、国王一家殺害事件の
      ドキュメンタリー、身近な事件に巻き込まれ
      それを解決するミステリー、ジャーナリズムに
      ついての一考察、個々が潜在的に抱える二面性など、
      多くのテーマを一つの作品に内包する、久々の
      名著でした。読むたびに見え方が違ってきそうな
      奥深さの入り口に、今立ったという印象です。

      category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

      バリエーション豊かな短編集 『素敵な日本人』

      2017.04.12 Wednesday 23:55
      0

        東野圭吾さんの短編集 『素敵な日本人』 を読みました。
        光文社のソフトカバーといったあたりで、薄々と内容の
        軽さが予想でき、リフレッシュ向きかなといった気分で
        購入しましたが、まあ予想通りです。

         

        タイトルに “日本人” という単語が使われている
        こともあってか、9編の作品は1話目が正月初詣、
        2話目がバレンタイン、3話目がひな祭り、そして
        途中はサスペンス系あり、SF系あり、ミステリーあり
        と、東野圭吾さんがカバーするジャンルの広さを
        アピールするような作品があって、後半にクリスマスと
        年間行事に絡めてあり、日本らしい季節感も演出。

         

        犯罪絡みは長編が持つ緻密さがないものの、ちょっと
        おまぬけな犯罪者が出てきたり、あまり深刻な気分に
        させないライトな感じもいいですね。

         

        また、『仮面山荘殺人事件』『十字屋敷のピエロ』
        などでは、見事などんでん返しとなった叙述トリック
        も、意外な作品に使っていて楽しめました。
        うーん、2つどんでん返しはいらなかったかな?

         

        全体にタイトル通り、人情味あふれる作品が多い
        短編集ですが、ドタバタの後にも心温まるラストが
        あったり、ちょっとスピリチュアルな力が働いて
        いるようなドラマがあったり、東野圭吾さんの
        これまでの作品の 「あれに似てる!」 という展開の
        作品も少なくありませんでしたが、バリエーションの
        妙もあって、新鮮な感覚で楽しめます。光文社だし(笑)。

         

        私としては、最初の作品 「正月の決意」、そして
        タイトルは寂しげなのに心温まる 「今夜は一人で
        雛祭り」、理系作品が多い東野さんですが初期の頃、
        時々書いていたスピリチュアルな要素を含んだ
        「サファイアの軌跡」、近年テーマの主軸となって
        いることが多い父と子の関係を描いた 「水晶の数珠」
        が気に入りました。とくに 「水晶の数珠」 は
        ラストを飾るにふさわしい、余韻のある作品でした。

         

        短編集・天下一大五郎シリーズのような意外性や
        奇抜な展開はないものの、『白銀ジャック』
        『疾風ロンド』 などのような、テレビ原作向きな
        派手さがない作品群に好感が持てました。

        category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

        裏の裏は表じゃない袋小路 『リバース』

        2017.04.02 Sunday 23:56
        0

          湊かなえさんの 『リバース』(講談社文庫)が
          ドラマ化されるというので、速攻読みました。

          表4あらすじ程度の紹介と興味の喚起でとどめ、

          ネタバレしないようにせねば!

           

          まず、導入…。

          一流大学を出た割に地味なサラリーマン生活を
          送っている主人公・深瀬。彼の小さな幸せは
          大好きなコーヒーを通じて知り合った美穂子との
          ひと時。ある時、彼女の職場に届いたと見せられた
          「深瀬和久は人殺しだ」 と書かれた手紙。

          冒頭は、この衝撃的な言葉から始まります。

           

          それと同じような手紙が、大学時代のゼミの仲間
          3人にもさまざまな形で届いていたことから、
          差出人は大学時代に行った旅先で事故死した
          広沢由樹の関係者ではないかということに。
          その事故には、4人にとって他の人には言えない、

          ある秘密が隠されていたのです。

           

          仲間内でも疑心暗鬼に駆られる状況の下、深瀬は
          広沢の関係者にどんな人がいるのかがわからず、
          あらためて親友と思っていた広沢のことを全く
          知らなかったことに愕然とします。

           

          明るい性格の体育会系で、人から好かれていた
          広沢と、どちらかというと根暗で消極的な深瀬が
          本当に親友と呼べる間柄だったのか、その隙間を
          埋めるように、広沢の親や同級生などに会って、
          好きな食べ物やどんなバイトをしていたかなど、
          差出人の追及とは関係なさそうなことも一つひとつ
          拾い集めていき、辿り着いた結論は…。

           

          えぐみのある酸化したコーヒーを飲むような
          ラストは終わりではなく、ある始まりとなり、
          さまざまな “その後” が考えられるも、どれを
          選んでも袋小路に追い詰められるような、そんな
          “ドッカーン” が待ち受けています。

           

          ドラマはどういったカタチでまとめるのか、脚本が

          楽しみ。ただ、藤原竜也さんと戸田恵梨香さんが

          深瀬と美穂子だとしても、つい 『DEATH NOTE』 を

          思い出しちゃうんですけど。

           

          【関連記事】
          ◇ 映画に向けて 『告白』 一気読み!
          http://nureinmal.jugem.jp/?eid=569
          ◇映画 『告白』 の衝撃
          http://nureinmal.jugem.jp/?eid=612
          ◇『Nのために』 は映像の方がいいかも?
          http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2192

          category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

          個々の視点の違いが面白い 『神様の裏の顔』

          2017.03.10 Friday 23:32
          0

            お笑い芸人の著書を…というと、文庫化された 『火花』
            かと思われるでしょうが、NHKドラマを楽しく見るため、
            大量に刊行された単行本 『火花』 がBOOKOFFで安く手に
            入るタイミングを待つことにして、「第34回 横溝正史
            ミステリ大賞」 受賞作の 『神様の裏の顔』(藤崎翔著、
            角川文庫)を取材の移動中に読破しました。

             

            というくらい、サクッと読みやすい作品です。
            冒頭、葬儀社の社員が驚くほど、子供から老人までの
            さまざまな年齢の弔問客が涙で別れを惜しまれる
            元・教師の坪井誠造。

             

            彼の生前の思い出を、娘、教え子、元同僚の教師、
            近所のおばちゃん、坪井家が所有するアパートの住民、
            それぞれが一人称で語る叙述形式。

             

            通夜が読経、焼香、喪主挨拶と進む内、読者は個々が
            語るエピソードの中に、彼の “裏の顔” があるのでは
            ないかと気づかされ、それに気づかない当事者たちが
            どういった形で、各自の情報を交換するのかハラハラ。

             

            通夜ぶるまいで、アパートの住民で、売れない芸人の
            寺島がつぶやいた一言をキッカケに雪崩のように、
            坪井誠造に対する疑惑が広がり、犯罪者かと思われる
            ほどに話が膨らんでいく、ドミノ現象にドキドキ。

             

            その状況を再び一転させたのが、言い出しっぺの寺島。
            悪人・坪井誠造を作り上げた裏には、弔問客一人ひとりが
            隠していた “裏の事情” があり…と、弔問客の家族
            事情や人間模様も面白く、伏線回収もキッチリ。

             

            彼らが抱えた疑惑を耳にしてしまった、喪主である娘と
            話し合うことに。彼らが行きついた結論とは?

             

            坪井誠造がどんな人間であったにせよ、彼の死を通して
            弔問客たちが心の奥に抱えていた秘密を解き放てたことを
            考えれば、坪井誠造は “神様” でした。

             

            そして、さらに彼らが出した結論を覆すような、お約束の
            どんでん返しもあって、細かい計算が多い数学の公式を
            解いた後や、損益計算書と貸借対照表がぴたっと一発で
            整った時のような満足感がありました(笑)。

             

            深夜枠のドラマに合いそうな作品ですが、叙述形式が
            この作品の面白さなので、映像化はむずかしいかも
            しれませんが、舞台化なら可能な作品かもしれません。

             

            謎解きよりも、人間模様を楽しむミステリーっていう
            感じですね。手軽に読めてGOODでした。

            category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

            青色申告に想定外の事態勃発!

            2017.03.07 Tuesday 04:51
            0

              「愚か者が家を建て、砂の上に家を建て♪」 という歌詞の歌が

              ありますが(タイトル忘れた)、まさに2016年度の青色申告で

              その状況を彷彿とさせる、私にとっての大事件が勃発しております。

               

              青色申告の場合、まずは事業収支の書類作成をして、経費を

              差っ引いたものが、その年の収益となります。

              収益は毎度のことながら大したことないので、大変なのはやはり

              各勘定科目の仕分けと集計、領収書の整理。

              今回は、青色申告書提出前の2週間に、遠方取材や父の通院と

              今月から始める副業トライアルが重なって、15日までは点滴でも

              しながら頑張らないとクリアできなさそうな、ヘビーな期間と

              なることが予想…というか確信できる、まさに修羅場!

               

              ようやく、各勘定科目ごとの経費も算出でき、Excelへの入力も

              済み、社会保険料などについても支払金額を役所で確認でき、

              例年より絶好調と思っていたら、思わぬ落とし穴が!

               

              これまで10年近くやってきたエリア情報関係の源泉徴収票と

              編集部への請求書、当座預金への入金を確認したところ、

              20万近い誤差が。いつも収益関係の作業においては、全く問題

              なく、サクッと片付いていたので、放置していたのを後悔。

              大慌てで、エリア情報を運営している編集部にその旨連絡

              したところ、源泉徴収の発行は外部発注しているそうで、

              即答できないといわれてしまいました。

               

              源泉徴収票が間違っていた場合は、いくら支出(必要経費)が

              バッチリでも、源泉徴収票がベースとなるので、その先の

              作業を進めることができません。

               

              ついでに、ようやく発行されたというマイナンバーがやっと

              準備できたということで、隣駅まで取りに行かねば!

               

              悪いことは重なるもので、毎年、青色申告会から送られてきた

              事業の収支を記載する用紙も送られてきていないので、その

              用紙も税務署までもらいに行かねばならないという、まさに

              三重苦! 書き込むデータも、貼り付ける保険関係の証明書も

              スタンバイOKだというのに、青色申告の大黒柱とも言える

              源泉徴収票が訳わからん状態となっているので動揺中です。

               

              家を建てるための建材や内装は決まっているのに、地盤が

              砂地のよう状況で、灯台下暗し。

              最初にやるべき、収益をまず確認してから、支出を算出する

              作業をすべきだったと後悔先に立たず。

              提出まで、あと1週間に迫っている青色申告をなんとしても

              クリアしなくてはー! ピグブレイブの本戦クリアを目指して

              いる時じゃないぞー!

               

              それにしても、私の毎日って、メリハリある出来事が次々と

              発生するので、ブログネタに事欠きませんね〜と、ちょっと

              ポジティブに考えてみることにしました。

              それとも、このブログが刺激ある毎日を呼び込んでいるのか!?

               

              『王とサーカス』 は、現地の臨場感に心地よくミスリードされる!

               

              先日、ちょっとふれた 『王とサーカス』(米澤穂信著、徳間書店刊)

              もすでに読了しており、内容的にも読み応えもあり、ミステリー的にも

              伏線となる情報がフェアに提供されており、さらに憧れのネパールの

              空気感も申し分ない名作で、メディアが提供する悲惨な情報に対して

              それを “サーカス” にも例えることで楔を入れるようなやりとりもあり、

              エンターテインメントでありながらも、実際に起きた王家殺害事件の

              時の現場の様子も臨場感に溢れており、ドキュメンタリーのような

              緊張感も味わえます。

               

              ある現地の人物が語る、情報社会における報道のあり方をついての

              批判と見解にも、ジャーナリストではない私ですが、情報を発信

              する側の人間として、改めて自分自身、文章を通して何をしたいのか、

              すべきなのか考えされられる作品でした。

              心に響くセリフも多く、いずれ落ち着いたら、ご紹介できればと

              考えています。

              category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

              相田みつを・心の詩 『空を見上げて』

              2017.02.21 Tuesday 05:09
              0

                忙しくても、お金貯まらず、本だけは溜まっていくので、
                また少しBOOKOFFで “第二の本生”に入っていただく
                書籍や漫画を選別しました。

                ちょっと深めの堆積層から、書籍制作時代に手掛けた
                相田みつをさんの本が出てきて、東京国際フォーラムの
                美術館にも行ったりした私ですが、どうしても感性が
                合わないので、BOOKOFF直行便に。
                http://www.mitsuo.co.jp/museum/sp/

                 

                それほど、押しつけがましくない人生訓でもあり、
                文字もアーティスティックで文字の形自体は嫌いでは
                ないのですが、なぜだか自分の中に入ってこないと
                いおうか…やはり相性が合わないとしかいいようが
                ありません。

                 

                でも、まあ一応、さらっと見ておこうかと目を通して
                みたら、一つだけ 「これは、そのシチュエーションの
                時に、呪いのように使えるかも」 と思った言葉が
                見つかりました。

                 

                「身から 出たさびと おもえば こころ しずまる」

                 

                仕事でも、人間関係でも、意外と使えそうな時が
                ありそうな言葉です。
                頭にくることも、悪いことも、冷静に考えてみれば
                所詮 “身から出た錆”。

                 

                取材の申し送りが悪くて現場でアタフタするのも、
                事前にもっとしつこく確認しておけば回避できるし、
                クライアントから 「言ったことと違う」 と文句を
                言われるのも、先方の言葉のままでは掲載できない
                事情などを編集に申し送りすればいいこと…。

                 

                とはいっても、ホントはそこ、営業と編集がちゃんと
                連携してればこっちにとばっちりこないんだけどなと
                やっぱり、相田みつをさんのようには達観できない
                私なのでありました。人間だもの…。

                category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

                ラストカットの余韻も清々しい 『小暮写眞館』 4巻

                2017.02.06 Monday 23:08
                0

                  精神安定剤的な意味で、こういう緊急時&繁忙期は
                  読書が一番!

                   

                  ってことで、やっと宮部みゆきさんの 『小暮写眞館』
                  (新潮文庫)4巻を読み終えました。

                   

                  今日のタイトルに “清々しい” と書きましたが、
                  “爽やか” ではなく、やはり “清々しい” という
                  言葉を選びたい内容でした。

                   

                  1巻の読み始めは、単に変わった家族(両親?)が
                  写真館を住宅として不動産屋から購入したため、
                  不可思議な写真が知り合いから持ち込まれて、
                  それを解決していく話なのかなと、軽い気持ちで
                  読んでいましたが、3巻あたりから、主人公・英一の
                  家族や、不動産屋の従業員・垣本順子が抱えている、
                  隠されていた重荷に光があてられ、思った以上に重い
                  テーマを秘めた作品であることに気づかされました。

                   

                  ただ、文体が英一視点なので、時々入る突っ込みや
                  口語的な表現で、テーマの重さを感じさせず、
                  読後感も良い作品に仕上がっています。

                   

                  これまでになく、事件連発の第4巻

                   

                  4巻では、英一の死んだ妹によって起きてしまった
                  親族との確執や、垣本順子が自殺未遂を繰り返す
                  理由などが解明すると同時に、弟・光が小さい胸を
                  痛めていた問題を英一が兄として受け止め、順子も
                  また再出発につながりそうな事件も経て、これまでに
                  解決してきた心霊写真や不可思議な写真に関係した
                  人たちのその後も描かれていて、伏線回収バッチリ!

                   

                  事件が次々に起こる怒涛の4巻は、写真の謎を解明
                  することはないものの、夜の川を挟んで、英一と光が
                  対岸に住む女の子に手を振るシーンは幻想的。
                  現実なのか、スピリチュアルな体験なのかわからない
                  不思議な空気感を醸しています。

                   

                  また、これまでもコミュニケーションツールとして
                  登場していた鉄道に絡めたラストシーンが、作品全体を
                  締める一枚の写真のように温かい余韻となって、
                  読む人の心に映像となって残る作品でした。

                   

                  【関連記事】
                  ◇ブサイクなカモメの謎を追う 『小暮写眞館』 3巻
                  http://nureinmal.jugem.jp/?eid=3071
                  ◇パラパラ映画のように心に映し出される 『小暮写眞館』
                   (http://nureinmal.jugem.jp/?eid=3047

                  category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

                  ブサイクなカモメの謎を追う 『小暮写眞館』 3巻

                  2017.02.02 Thursday 04:06
                  0

                    宮部みゆきさんの 『小暮写眞館』 3・4巻が出たので、
                    取材の移動中や就寝前に読んでおります。
                    なぜか、忙しい時に限って本が読みたくなるんです、
                    “ボクの悪いクセ”って右京さんか〜いとハイテンション。
                    やはり、忙しすぎるとハイになる模様。

                    3巻は 『小暮写眞館』 の起承転結のちょうど転にあたる
                    展開となっているようです。
                    これまでは、知り合いから持ち込まれた心霊写真のような
                    物を、その当事者に知られないよう調べるという展開
                    でしたが、今回持ち込まれるのは、小学生でも合成と
                    わかってしまうようなカモメが入り込んだ写真。
                    しかも、ぬいぐるみの目つきが悪いカモメです。

                     

                    その写真は、不登校の小学生たちが通う 「三つ葉会」
                    でのパーティ写真。
                    そして、それを撮影した子どもは成績もよく、とくに
                    いじめにあっている訳でもないのに不登校児童の少年。

                     

                    カモメをヒントに、主人公の英一が個性豊かな友人や
                    不動産屋さんの事務員の訳アリ女性の力を借りて、
                    地域の人たちから情報を集め、その写真が撮られた
                    背景と、その写真に込められた意味を知るという流れです。

                     

                    1・2巻ではあまり語られなかった、英一の死んだ妹に
                    ついての事情も語られ、小暮写眞館の店主だったお爺さんの
                    人生や人柄についても調べることとなり、1・2巻では
                    写真の謎が中心でしたが、3巻はラストに向けた流れが
                    用意されているようでした。

                     

                    小暮写眞館の元店主を調べるキッカケとなった事件も
                    また、ちょっとオカルトチックだけれど笑いもあり、
                    心温まる内容。ここまで読んで、3巻が一番好きかも。

                     

                    カモメから導き出された 「全体主義の恐怖」 という
                    テーマ…今のアメリカにも言えるかもしれません。
                    ある意味、タイムリーな文庫化ですね。

                     

                    【関連記事】

                    ◇パラパラ映画のように心に映し出される 『小暮写眞館』
                    http://nureinmal.jugem.jp/?eid=3047

                    category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

                    読後感のカタルシスが心地よい 『また、同じ夢を見ていた』

                    2017.01.29 Sunday 05:13
                    0

                      2016年の年間ベストセラーとなった 『君の膵臓をたべたい』
                      の住野よるさんの作品 『また、同じ夢を見ていた』(双葉社刊)
                      を就寝前に少しずつ読み進めていました。

                       

                      読んでいる間の3分の2は、とにかく眠くなってしまう
                      流れなのですが、読み終わると思わずもう一度最初から
                      読まなければと焦らせてくれる作品でした。

                       

                      主人公は、小柳奈ノ花というかなりこまっしゃくれた小学生。
                      自分は “賢いので”、周りの同級生たちがバカだったり、
                      意気地なしに見えて、距離を置いているため、学校に友達は
                      いないものの、放課後は自分の歌に合わせて鳴く猫と一緒に
                      “賢い” お姉さん・アバズレさんとオセロをしたり話したり、
                      美味しいお菓子を用意して待っていてくれるおばあちゃんの
                      家に行ったりして、本人は友達がいない寂しさを感じずに
                      生きています。

                       

                      口ぐせは子供のくせに 「人生とは〇〇のようなものね」 で、
                      謎かけのようなオチはそれなりに面白いのですが、彼女の
                      考え方や態度はあまり共感できない感じでした。

                       

                      学校生活では、唯一、本の話で友達や、絵が上手だけれど
                      いくじなしな桐生くん、奈ノ花から見るといい人だけれど
                      的外れなことをいうひとみ先生などが登場し、国語の授業で
                      「幸せとは?」 という課題が出され、それをアバズレさんや
                      おばあちゃん、そして第3の人にたずね、奈ノ花なりの
                      考察を深めていく展開…寝る前に読むには程よい作品。

                       

                      第3の登場人物は、アバズレさんもおばあちゃんも不在で
                      仕方なく日頃行かない廃墟で出会った女子高生・南さん。
                      リストカットしようとしている南さんは、文章が上手
                      ですが、口が悪く、奈ノ花のことも 「ガキ」 と呼ぶほど。

                       

                      その南さんが彼女の名を呼び、南さんが考える幸せの定義を
                      教えてもらった後、ある不思議な出来事が起こります。
                      この辺りからようやく本気で読む気になってくる感じ。

                       

                      一方で、学校生活では、隣の席の桐生くんが、父親が
                      起こした事件でいじめにあい不登校に。
                      そこから、奈ノ花の中に変化が起き始め、今度はまた
                      アバズレさんにも不思議な出来事が…。

                       

                      ラストの方で奈ノ花に吹きつけた強い風で、そこまで
                      何となく感じていた不思議が、一気に革新につながって
                      読後感は意外と爽快。
                      同時に、「また、同じ夢を見ていた」 というセリフの
                      意味もわかり、大きなカタルシスに包まれる作品です。

                      category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

                      PR
                      Calender
                          123
                      45678910
                      11121314151617
                      18192021222324
                      252627282930 
                      << June 2017 >>
                      人気ブログランキング
                      人気ブログランキングへ
                      Selected entry
                      Category
                      Archives
                      Recommend
                      Link
                      Profile
                      Search
                      Others
                      Mobile
                      qrcode
                      Powered
                      無料ブログ作成サービス JUGEM