『シェイプ・オブ・ウォーター』 は “彼女” じゃダメ?

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    第90回アカデミー賞(R)で作品賞をはじめ、監督賞、
    作曲賞、美術賞の4冠、ベネチア国際映画祭の金獅子賞を
    獲得したという、『シェイプ・オブ・ウォーター』 を
    見たのですが、私は 『スリー・ビルボード』 の方が
    作品賞向きだったと思います。
    http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/

     

    声が出ない女性とアマゾンから捕獲された謎の生物
    とのファンタジーのようでもあり、1960年代の米ソ
    冷戦時代の機密脱出的なサスペンスのようでもあり、
    同性愛者・黒人・身障者などのマイノリティーへの
    当時の見方を描いた社会派のようでもある、ボーダー
    レスさが、これまたつかみどころがなくて、まさに
    水のようです。

     

    アメリカの機密を扱う研究所に清掃員として勤める
    地味な女性が、そこで生体実験の対象として捕獲された
    半魚人のような生物とコミュニケーションを取れるように。
    『未知との遭遇』 では宇宙人と音で交信しましたが、
    本作では手話を通じて気持ちを伝えるスタイル。

     

    次第に愛を感じ合う会話も、手話やお互いの表情を見て
    伝えられる静けさが、全体を包むブルーやグリーンの
    色とマッチしていて、美術賞には納得です。

     

    そして、科学の進歩というか、ソ連との競争に勝つため、
    その生物を解剖実験することが決まり、それを知った
    ヒロインのイライザは、研究室から逃がす行動に。

     

    ここからは多少ネタバレ入ってます↓

     

    二人が愛し合うシーンや、ラストシーンも美しいですが、
    シンプルに疑問を感じたのは、「イライザはあの
    生物が雌だったら救ったのだろうか」 ということ。
    ストイックな愛だった方が、種族を超えて心を通わせる
    感動が大きかったような…。

     

    結構、早い段階からイライザが水槽にいる生物に対して
    「He(彼)」 というのに違和感がありました。

     

    観ようによっては、単に欲求不満なおばさんが、神の
    ように逞しい生物に魅かれた話に見えなくもありません。

     

    また、テレビ、バービー人形のような妻、キャデラックが
    ステイタスといった、60年代のステロタイプなアメリカ
    家庭の描写がありましたが、今やそちらの方がメルヘンでしょう。

    当時の “強いアメリカ” を唱えるトランプ政権になってからの

    アカデミー賞(R)は、選ぶ作品に政治的なメッセージ性を

    優先しがちになっているようです。

     

    R指定映画だし、映像的には美しいので、もうほとんど
    上映している所は限られてきましたが、気になっている方は
    映画館で観た方が感動できると思います。

     

    【関連記事】
    ◇イライラさせられるのになぜか感動する 『スリー・ビルボード』
    http://nureinmal.jugem.jp/?eid=3458


    『クソ野郎と美しき世界』 で新しいステージに

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      九州旅行に行く前日、そろそろ上映館が減ってきた
      『シェイプ・オブ・ウォーター』 を観に行ったのですが、
      時間もあったのと、空席状況が全回◎というガラガラで、
      その時点では先が危ぶまれた 『クソ野郎と美しき世界』 を
      観てみることにしました。最終的には観客動員の目標人数を
      上回ったようで、ファンの方々も一安心というところでは
      ないでしょうか。
      http://kusoyaro.net/

       

      園子温監督が稲垣吾郎さんと、山内ケンジ監督が香取
      慎吾さんと、太田光監督が草なぎ剛さんと、そして3人
      それぞれのエピソードをまとめる締めの作品を児玉裕監督が
      手掛けたオムニバス作品となっていました。

       

      個人的には園子温監督はちょっと苦手なので、やや
      不安を感じないでもありませんでしたが、監督、出演者、
      それぞれの個性が生かせた作品ではありました。

       

      『クソ野郎と美しき世界』 はメインタイトルではなく、
      『新しい地図〜クソ野郎と美しき世界〜』 とも言える
      内容だったと思います。

       

      「ピアニストを撃つな!」「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」
      「光へ、航る」 の3作はいずれも、ピアニストとして
      指を失う危機、歌食いに持ち歌を食われた香取慎吾(役)、
      死んだ息子の右腕を移植された人に会いに行く夫婦と、
      全て “喪失” をテーマにしたストーリーです。

       

      作品・脚本的には、オーソドックスな仕上がりで

      賛否両論ありそうな 「光へ、航る」 は、もっと突破ずれた

      作品を作るかと思われた太田監督が、多少、爆笑問題的な

      掛け合いはあったものの無難な脚本を書いたことで、

      草なぎさんと尾野真千子さんの演技力を際立たせていました。

       

      やはり、草なぎ剛ドラマはイイネ!
      尾野真千子さんは 『ナミヤ雑貨店』 も良かったけれど、
      ドラマ 『はじめまして、愛しています』 は頑張って
      ほとんど見たほど、彼女の持つ雰囲気も好きです。

       

      「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」 は適度にシュールで、
      いろいろと 「新しい地図」 としてのメッセージが
      隠されていたのではないかと思われました。

       

      歌を食われて歌おうとした歌が、「あ…」「き…」
      「せ…」 と歌い出そうとするのに出てこないあたりは、
      「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界に一つだけの花」
      なのかと、最後の 「せ…」 を何度も繰り返したことで
      やっと気づいた有様でしたが、とくにファンでなくても
      わかるくらい、知られた曲が多いことを実感させられました。

       

      歌食いのうんこが6個だったり、同じように歌を奪われた
      歌手の歌が 「また逢う日まで」 だったりと、意味深な
      エピソードも絡め、ラストの 「新しい詩」 へと続く
      流れから、香取さんのパートがこの作品の骨格となって
      いたように思われます。「新しい詩」 自体も明るくて
      エンターテインメントな雰囲気で締めくくるのには
      ぴったりの楽曲。サビの部分はユニゾンの方がいいかも?

       

       

      また、この興行収入で、新しいことに挑戦していって
      ほしいですね。いちいち、元SMAPとか言うのうぜえ!
      野球だってフリーエージェントあるんだから、ある程度、
      事務所に貢献して、売り出した分以上の収益を回収したら
      自由な活動の場を提供してあげた方が、業界の活性化に
      つながると思うんですけどね。


      単なる武勇伝ではない 『15時17分、パリ行き』

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        『シェイプ・オブ・ウォーター』 は友人と約束して
        いるので、仕事ついでにとりあえず、先日見逃した
        『15時17分、パリ行き』 を観てきました。

         

        クリント・イーストウッド監督作品なので、失敗は
        ないだろうと思われることと、実在の事件を本人たちが
        演じているというチャレンジに興味がありました。
        http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/

         

        実際の場所で、主役3人は本人をキャスティングしたと

        いうことは、事件の際の列車内の様子をドキュメントタッチで

        描くのかと思われましたが、さにあらず。

         

        列車テロを最小限の被害で防ぐことに貢献した若者たち
        3人の幼い日の出会いや、決して彼がヒーロー然として
        いたのではなく、どちらかというと問題児だったのを
        しっかりと描いているところが、イーストウッド監督
        らしいと思いました。

         

        それだけに、ローマやヴァチカン市国を巡った後に
        立ち寄ったヴェネツィアで、眼下に町の景色を
        眺めながら語られる 「運命に導かれる」 という
        フレーズが生きてきます。

         

        ストーリーは、序盤が彼らが子供の頃の環境説明、青年期、
        中盤がイタリア、ドイツ、オランダ旅行記、それら全てが

        伏線となって、テロ事件に集約される形です。

         

        思ったよりも、事件に割かれている時間は少ないことから、
        監督が描きたかったのは、運命の導き=神の采配という
        テーマであることが感じられます。

         

        昨日、アイスランドいいねと書いておきながら、舌の根も
        渇かない内に、イタリア、とくにヴェネツィアには
        もう1回行きたいと思ってしまった私です。イタリアは
        学生時代に研修旅行のような形で行って、ポンペイとか、
        ナポリ、ローマ、シエナ、フィレンツェはかなり満足
        できるくらい回れたのですが、ヴェネツィアだけは
        前日夕方に着いて、夜にゴンドラに乗り、翌日の昼には
        出発だったので見足りないし、かなり町の様子が他より
        変わっていました。カタコンベ行かなければ良かった!

         

        ついでに言えば、シエナは行ったけど、ピサの斜塔を
        見ていない! まあ、ネパール→エジプト→モロッコ
        の次点くらいには行きたい場所なのです。

         

        ここからは多少ネタバレ感想

         

        事件が起きた列車は、アムステルダム発パリ行きで、
        彼らがアムステルダムに寄ったのは、ドイツで偶然
        ジャンキーのおっさんにオランダを薦められたからで、
        さらにWifiが入る場所を求めて一等席に移動したから。

         

        テロリストの行動を阻止できたのは、3人の中でも
        とくに丁寧に描かれているスペンサーが、本当は
        空軍のパラレスキューになりたくて入隊したのに、
        視覚障害でそれも叶わなかったものの、柔術は得意と
        していたこと、そしてテロリストに撃たれた人の命を
        救えたのは、軍隊で簡単な応急処置を学んでいたこと、
        といったように、それまでの出来事が全てテロ事件に
        向けて用意されていたように思われるほどでした。

         

        もともと、3人でヨーロッパ旅行に行くことになったのも、
        さらに遡れば、3人の出会いが、彼らの苗字が 「S」 で
        体育の授業でアルファベットでチーム分けされた時、
        同じチームになったからと、観終わってから、伏線と
        いうか、導きとしか言いようがない、過去からの出来事

        一つひとつを棚卸してみたくなる作品でした。


        『アナ雪』 続編付きでコスパもいい 『リメンバー・ミー』

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          新宿周辺でいくつかの用事を済ましたので、映画でも
          観て帰るかと思って、最初はクリント・イーストウッド監督
          作品の 『15時17分、パリ行き』 をタイミングが合えば
          観たいと思ったのですが、やや待つことになりそうなので
          ディズニー・ピクサス作品なら失敗はないだろうと
          『リメンバー・ミー』 を観ることにしました。
          http://www.disney.co.jp/movie/remember-me.html

           

          何かの予告で透明感のある青い空間に町が浮かんでいる
          ような情景を観た覚えもあるので、まあ映画館で観るには
          きれいでいいかなという軽い気持ちで鑑賞。

           

          映像も良かったですが、思ったよりも脚本がしっかりして
          いて、ちょっとしたサスペンス感もあって大満足。

           

          何より、本編の前に上映される 『アナ雪』 続編になる
          オラフ主役の短編 『家族の思い出』 はお得感ありました。
          アナとエルサが着ていたお揃いカラーの服の色もGOOD!

           

          『アナ雪』 の名場面を彷彿とさせるバリエーション的な
          シーンも見事に決まっていて、さすがな構成でした。

           

          『リメンバー・ミー』 の死者のイキイキ(?)した世界が魅力

           

          そんなノルウェーの氷の世界から、一気にメキシコの
          『リメンバー・ミー』 ワールドに移行するメリハリも
          バッチリ決まっていて、ホント、一流の人が集まると
          うまくまとめるもんだなあと感嘆するしかありません。

           

          『リメンバー・ミー』 は、家族を捨て音楽を選んだ
          ひいひいお爺さんを持つ少年ミゲルが、代々、音楽は
          NGの家族たちの中で、音楽の道に進みたいことを
          言い出せないまま、“死者の日” という日本で言う
          お盆のような日に、うっかり死者の国に迷い込み、
          そこから自分のミッションを得て、元の世界に戻るため
          冒険するファンタジー映画です。

           

          もちろん、ラテンの音楽あり、色鮮やかな死者の国あり、
          ひいひいお爺さんとの出会いもあり、さらに一つの謎の
          解決もあったりと、テンポも良く、ディズニーらしく
          子供から大人まで楽しめる作品となっています。

           

          舞台はメキシコということになっていますが、死後の
          世界が、『DESTINY 鎌倉ものがたり』 にも似ていて、
          日本人にも馴染みやすい世界だと思います。

           

          死者の日には、家族代々の写真を飾る祭壇に、破られた

          ひいひいお爺さんの顔の部分。ミゲルは死者の国で

          元の世界に戻るための “許し” をもらうために彼を

          探し回ります。その過程での出来事や周囲の描写、

          死んでるけどイキイキした骸骨キャラが愛らしい!

           

          人々から忘れられてしまうことが “第二の死” となる
          死の世界から、翌朝までに帰らないと自分もそのまま
          死者となってしまうミゲルが、家族愛の大切さを実感し、
          さまざまな出来事を通して成長していく様もきっちり
          描かれています。

           

          『バック・トゥー・ザ・フューチャー』 の写真のように、

          ミゲルが少しずつ骸骨化していく、タイムリミット感にも

          ハラハラさせられます。ディズニーだから必ず帰れると

          わかっていてもね(笑)。

           

          字幕版で観ましたが、『アナ雪』 の同時上映を知って

          いたら、吹き替え版でも良かった気がしなくもないので、

          『15時17分、パリ行き』 とセットで吹き替え版も

          観てみようかなとも思っています。

          1回目は謎だった部分を知った上でも観られる作品。

          犯人がわかっていても、人間模様の描写の良さで

          2度3度と読めるミステリーのような作品です。

           

          作中で 『TOY STORY』 キャラを見つけて、ちょっと
          天狗な気分でいたら、なんともっと多くの作品のキャラが
          隠されていたのを後で知りました。鼻めり込みそう。

           

          また、ネタバレは避けますが、メキシコの埋葬法は
          土葬が多いようなので、『アンナチュラル』 的な
          方法でも、ある誤解は科学的に解決できそうです。

           

          ちなみに、『アンナチュラル』 はめずらしく全回を
          リアルタイムでパーフェクトに見ました。
          私の人生の中でも、かなりめずらしいパターンです。
          続編、絶賛希望!

           

          【関連記事】
          ◇3部作としても完成度が高い 『TOY STORY3』
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          ◇『アンナチュラル』 のロジカルさと仲間との距離感がいい!
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          マニア向け 『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』

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            『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』 は、原作本編と
            ノベル 『文豪ストレイドッグス 太宰治と黒の時代』 を
            読んでいるか、アニメを見ていないとちょっと人間関係や
            設定がわからないかと思われます。
            http://bungo-stray-dogs.jp/

             

            最初に、パパパッと探偵社及びマフィアの名前と異能が
            表示されますが、文字読んでる暇がねえ!

             

            さらに、太宰と織田作の関係もさらりと回想に入れて
            あるので、太宰がマフィアを抜けた理由を知らないと
            多少関係はわかっても、そのシーンが持つ意味合いが
            理解しきれないまま、メインの “異能者連続自殺” 事件
            に突入してしまう展開となっていました。

             

            基本部分を知っている人には、原作にない時間のズレや、
            名場面を違った形で作中に取り込んでいる面白さが
            楽しめる作品です。いわゆるマニア向けな遊びがある作品。

             

            ストーリーは、“異能者連続自殺” 事件が起こる
            6年前に横浜を焼き尽くした龍頭抗争からスタートし、
            一気に現在へ。しかも、その首謀者と思われる澁澤龍彦の
            もとに、ドストエフスキーと太宰が集まって、頭脳戦を
            展開する一方で、異能力者が自分の能力と戦うという
            ダイナミックな映画らしいバトルが繰り広げられます。

            それぞれ、自分から分離した異能の表現も美しいし、
            異能なしでどうやって自分の異能に勝つかも見どころ。

             

            私はやはり、マフィアの中原中也と、太宰のコンビが
            好きですわ。中也の 「汚辱」 は元気玉みたいで
            映画映えするしね。

             

            テーマは、敦くんと鏡花ちゃんが自分の異能を受け入れる
            というシンプルな内容なので、あまりストーリーについては
            突っ込みを入れず、単純に映画での異能表現の美しさを
            堪能すればいいのだと納得しました。

             

             

            映画鑑賞者には5種類の缶バッジからランダムに1つ
            入り口で配られますが、太宰でした。
            書店の小さい缶バッジプレゼントでも太宰だったし。
            映画のは書店と違って、でっかく異能名 「人間失格」 と
            入っていないので、堂々と付けられるタイプです。
            できれば、映画は芥川がほしかった気がします。

             

            【関連記事】
            ◇『文豪ストレイドッグス〜太宰治の入社試験〜』 は裏の展開が面白い
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            ◇深夜アニメ 『文豪ストレイドッグス』 再放送を地味に
            http://nureinmal.jugem.jp/?eid=3420


            原作未読&前作未観賞でも感動できる 『祈りの幕が下りる時』

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              『祈りの幕が下りる時』 は原作も良かったので、
              シリーズ物なのでキャストももう慣れているし、そのまま
              映画も良かったという感じでした。

               

              新参者シリーズの完結作らしく、エンドロールではドラマに
              登場した懐かしい人たちもカメオ出演しているので、
              「誰出てたっけ」 とチェックしておくと、より楽しめる
              かと思われます。
              http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d1760/

               

              私と友人は、共にドラマから見ていたにも関わらず、
              犬も一緒に出ていたのに恵俊彰さんてどこで出たっけと
              お互いに脳の老化を痛感させられたのでした。

               

              まあ、思い出せないことを思い出す努力ってボケ防止に
              効果的だと健康テーマの番組でやっていたので、いい
              ボケ防止(っていうか、すでに進行してますが)に
              なったと喜ぶことにしました。

               

              内容については、どう書いてもネタバレになりそうだし、
              原作を読んでいなくてもキャストを見れば、本作は
              “フーダニット” ではなく、“ホワイダニット” で
              あることは予想がつくと思うので、スルーします。

               

              これまでになく、日本橋室町から人形町周辺の老舗を
              中心に、これでもかこれでもかというくらい、名店が
              登場していて、日本橋名店ガイド的な側面もあって、
              長年通勤していたエリアだけに楽しく観られました。

               

              親子で海辺を歩いているシーンでは、松本清張の
              『砂の器』 のワンシーンを思わせ、抒情感もたっぷり。
              で、後からプログラムを買ってみたら、なんと監督が
              『砂の器』 をクロスする要素がある作品であることから
              それを意識して製作したと知り、「あのシーンはやはり
              『砂の器』 へのオマージュだったのだ」 と納得。

               

              ただ、パンフレットは観賞後に買った方が良いでしょう。
              ちゃんと 「※結末に触れていますので観賞後に」 と
              書かれているインタビューがあるのですが、つい
              うっかり内容が目に入ってしまうと、原作未読の人に
              とっては、“ホワイダニット” が半減するので注意です。

               

              これで、新参者シリーズは終わってしまいますが、

              加賀恭一郎シリーズとして、『TRICK』 や 『海猿』 みたいに、

              ファイナル続編の映像化を密かに期待しています。

               

              『歪笑小説』 の 「夢の映像化」

               

              さまざまなテーマを時に暗く、時に軽く、多彩な表現で
              楽しませてくれる東野圭吾さんですが、その中で軽い方の
              分類に入る 『歪笑小説』(集英社文庫)。

               

              『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』 と並んで、
              気軽に楽しめる短編集です。中でも 『黒笑小説』 と
              『歪笑小説』 は、出版業界を舞台にしたコメディが
              多数収録されている、いわゆる業界物です。

               

              そんな 『歪笑小説』 の中に、作者本人を多少投影
              したような熱海圭介という作家が登場するのですが、
              自分の作品が2時間ドラマになるまでのドタバタが
              描かれており、熱海の仲間たちが作品のキャストを
              妄想するシーンがありました。

               

              熱海は主役を演技派の高井利一(おそらく中井貴一さんが
              モデル)にしたいと言い、友人はヒロインを松崎羅々子
              (おそらく松嶋菜々子さんがモデル)にしてほしいと言う
              シーンがあって、実際に中井貴一さんは 『麒麟の翼』 に、
              松嶋菜々子さんは『祈りの幕が下りる時』 に出演され、
              キャストを見た瞬間、「これって原作者希望?」 と
              歪笑させていただきました。

               

              さらに、その作品でもう一人登場するのが、木林拓成。
              大手事務所の国民的スターで、主役しかやらないとか、
              「キバタクは何をやってもキバタク」 とか際どい
              セリフもあったりするのですが、近々、『歪笑小説』 と
              同じ集英社文庫 『マスカレード・ホテル』 に木林拓成の
              モデル丸出しの木村拓哉さんが出演するそう。

               

              できれば、どこか小道具で、熱海圭介著の 『電撃のポエム』
              を使ってくれると、アフロヘア―にまでなって次作の
              PRに励んだ熱海圭介さんが成仏できると思います(笑)。

               

              ちなみに、『歪笑小説』 をBOOKOFF行きにしなかったのは、
              収録作品の一つ 「文学賞創設」 が、ドタバタの後に
              じんわり来る清水義範調でお気に入りの作品だから。

              小説編集者の悲哀を描いた 「小説誌」 も、紙媒体での
              勤務経験もある私にとっては共感できる作品でした。

               

              ってことで、原作的にはマスカレードシリーズはあまり
              好きとは言えないのですが、『歪笑小説』 シリーズを
              完結させるためにも、ちょっと観たい気がします。

               

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              イライラさせられるのになぜか感動する 『スリー・ビルボード』

              0

                『祈りの幕が下りる時』 を友人と観に行った後、またしても
                飲み会になってしまいました。
                以前は、もっと頻繁に会って映画に行っていましたが、お互い
                家庭環境の変化もあって、一緒に映画に行った後は、その
                映画の感想もさることながら、会わない期間にそれぞれが観た
                作品で良かったものの情報交換の場となっています。

                 

                そこで偶然、お互いのイチオシが同じ映画でした。
                感想も 「あの主人公は被害者なのに共感できない」「あれだけ
                無法な行動をとる主人公を捕まえない警察の行動がわからん」
                「出てくる人ほとんどがクズ人間過ぎる」 とケチョンケチョンに
                ひとくされ罵りつつも、結論は 「でも、なぜだか観終わった後、
                不思議な感動があるんだよね」「フランシス・マクドーマンドの
                あの超ムカつく演技にはアカデミー賞の主演女優賞あげたいね」
                という展開になるのでした。
                http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/

                 

                観ている時はイライラさせられるし、決定的な結論も救いもない
                映画でありながらも、何かを観た人の心に何か残していく映画、
                それが 『スリー・ビルボード』 です。

                 

                娘をレイプされて殺された母親・ミルドレッドが、警察署長
                名指しで捜査の進展の無さを訴えた3枚の赤い看板。

                そこから、物語が動き出し、ガンで余命が短いとわかって
                いる警察署長をはじめ、周囲の人たちの多くが被害者で
                ありながらも行き過ぎた行動に走るミルドレッドを非難。

                 

                ミルドレッドに加担したと判断されて、看板製作会社の
                社長レッドも警察官からぼこぼこにされるわ、看板に放火
                されるわと、ミルドレッドが働く店の同僚も別件で逮捕
                されるわと、アゲインストの中、ミルドレッドも反撃。
                その反撃っぷりがこれまたハンパないのでした。

                悪意が連鎖していく、希望が見えない展開なのです。

                 

                内容は過激な割に、なぜか淡々とストーリーが進んでいき、
                その中には、レイプや家庭崩壊の問題に加え、舞台が
                アメリカ南部の村なので、白人警官の黒人への暴力や
                人種差別など、社会問題が織り込まれています。

                 

                また、ミルドレッドの別れたロリコン夫から、死んだ娘の
                気持ちも語られ、ミルドレッドがどうして執拗なまでに
                やり場のない怒りで暴れるのかも見えてきたり、登場人物
                それぞれが抱える人間の弱さが描かれることで、良心的な
                行為が際立つような作りと言えるかもしれません。多分。

                 

                私は、前にも書いた気がしますが基本 「性悪説」 で、
                それだからこそ、他人がやってくれたこと、支えてくれたこと
                がとても尊いことだと思っていることもあり、ある意味、
                ツボとも言える映画でした。

                 

                助演男優も良く、私はウィロビー警察署長派

                 

                ミルドレッド役のフランシス・マクドーマンドの悪意むき出し
                の演技もすごかったですが、警察署長ウィロビー役のウディ・
                ハレルソン、その部下で署長を尊敬し、同時に切れやすいと
                所長に評されるディクソン役のサム・ロックウェルも好演。
                どちらが助演男優と言えるのかで、友人と盛り上がりました。

                友人は、ディクソン派でした。

                 

                ただ、ぬいぐるみのクマが湖に1個ちゃぷちゃぷ浸っている
                シーンが泣けたという(クマが可哀そうではなく、それを
                象徴していることで)点については、友人に 「そんなシーン
                あったっけ?」 と一蹴されてしまいました、ショック!

                 

                また、看板が赤いというのも意味深。黒い文字の視認性を
                考えたらベースが黄色の方がいいはずですが、誘目性重視でか赤。
                共和党の赤です。ハリウッド映画は政治的なメッセージを
                のせることも多いので、背景的もどこか怒りが込められて
                いるような気がしました。

                 

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                マイノリティの祭典 『グレイテスト・ショーマン』

                0

                  製作発表があった時から行く気満々だった、東野圭吾さん
                  原作の 『祈りの幕が下りる時』。
                  やる気が満々過ぎて、紙のチケットを買ってしまい、
                  一緒に行く友人に 「ネット予約できないじゃん」 と
                  言い放たれ、私が仕事がてら予約しに行くはめに。

                   

                  せっかく、映画館まで行ったので、またしてもちょうど
                  やっていた 『グレイテスト・ショーマン』 を観ることに
                  しました。カギ爪付けてるヒュー・ジャックマンは苦手
                  ですが、『レ・ミゼラブル』 のジャンバルジャンは
                  良かったので、ちょっと期待。
                  http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/

                   

                  1800年代に実在した興行師・P.T.バーナムをモデルに
                  “うさんくささ”を希釈して、エンターテインメントに
                  仕上げたミュージカル映画です。

                  ちょっとアニメ映画 『SING』 にも似たストーリーです。

                   

                  日本では、「天保の大飢饉」 とか、「大塩平八郎の乱」
                  があった時代なので、アメリカも上流階級と仕立て屋の
                  息子であったバーナムとの差別や迫害も描かれています。

                   

                  鉄道会社に勤めるものも倒産するも、自分の発想力を
                  信じて、家族と共に挑戦していく姿勢が爽やか。
                  貧乏な中でも、娘を喜ばせるバースディプレゼントを
                  贈るシーンも印象的でした。

                   

                  剥製などを飾っていた博物館を “地上最大のショー”
                  へと創り上げていくテンポも軽快でした。

                  背の低い男、髭のある女性、犬のような男など、社会では
                  マイノリティとなっている人たちを “ユニーク(個性的)”
                  として、型破りなショーで歌い踊るシーンは圧巻。

                   

                  楽曲もその歌詞も良いし、ドラマ部分も印象的なシーンが

                   

                  『LA LA LAND』 でのアカデミー賞主題歌賞受賞者による
                  楽曲としては、今回の方がストーリーに自然にフィット
                  している気がしました。セリフから楽曲への入りも自然で
                  『LA LA LAND』 にあった 「今、突然ここで歌い出すの?」
                  といった唐突感がなかったのも、洗練された感じがしました。

                   

                  マイノリティの自己肯定曲 「This is me」 は名ナンバー
                  ですし、「The Greatest Showman」 も映画を盛り上げ、
                  彼らがサーカスで自らの表現力を得た瞬間の喜びと爆発感に
                  溢れていました。「レリゴー」 的な歌詞の歌が多めです。

                   

                  上流階級とのコネがあるパートナー役のザック・エフロンの
                  歌唱力や表現力、バーナムの上流階級出身の妻役のミシェル・
                  ウィリアムズの抑えた演技も良かったです。

                   

                  バーナムの “見世物” を上流階級視点で辛辣に非難していた
                  批評家が、バーナムが失意の時さりげに 「批評家が自分で
                  なかったら」 マイノリティにとって、バーナムのサーカスは
                  “celebration humanity”と評価しただろうと声を掛ける
                  シーンは感動的でした。

                   

                  2D映画より、舞台で観たい作品かもしれません。

                   

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                  映画愛に溢れた 『今夜、ロマンス劇場で』

                  0

                    父のショートステイの件で、関係者5人の方たちが
                    我が家に訪れ、ようやく3月初めに2泊3日、母に
                    レスパイト・ケアが提供できそうです。
                    書類と捺印しまくりでした。

                     

                    ちょっともやもやしていたので、家電量販店への買い物ついでに、
                    いつも通り、ちょうど時間に合う映画を観てきました。
                    この “出たとこ観賞” も一つのご縁かなと最近は思っています。
                    今日は、綾瀬はるかさん主演の 『今夜、ロマンス劇場で』。

                    http://wwws.warnerbros.co.jp/romance-gekijo/


                    レディースデーだったこともあり、混んでました。
                    バレンタインデーにもピッタリの内容だしね。

                     

                     

                    モノクロ映画の中から飛び出してきた、お転婆お姫様と
                    映画助監督とはいえ、ほぼADみたいな状況の青年との出会い。
                    舞台は1960年で、その青年も年老い、現在すい臓がんを患い
                    病院で死期を待つ状況のもと、看護師を相手にその時の
                    エピソードを語る流れになっています。

                     

                    モノクロ映画のお姫様が見る総天然色の世界や、各シーンでの
                    衣装も鮮やかで美しく、ファンタジーテイストたっぷりなので、
                    カップルで観るにはいいのではないかと。

                     

                    予告編でも 『ローマの休日』 っぽい雰囲気でしたが、
                    作中には 『カサブランカ』 の映像も流れ、映画製作への
                    愛情も感じられる作品でした。

                     

                    たしか、予告か何かでお互いに触れることができないと
                    ネタばらしされていたので、二人が近くにいる時、どう
                    触らないようにするのかにハラハラ感があります。

                     

                    売れっ子俳優役の北村一輝さんが、綾瀬はるかさん以上に
                    映画の世界という非日常感を濃ゆく醸していて、作品の
                    バランス調整に一役買っていました(笑)。

                     

                    ただ、お互いを触れないというネタばらしを予告して
                    良かったのかは微妙。冒頭部分にラストが予想できる
                    セリフが入っていて、秋乃茉莉さんの漫画を読んでいる
                    私的には 「あのパターンか!」 と先が見えてしまい、
                    その点だけは意外性が半減してしまっていますが、DVD
                    とかで、事前情報なく初めて観る人には “彼女の秘密”
                    も生きてくると思います。
                    そちらの時期の方が長くなるわけですしね。

                     

                    ラストが読めていても、1960年のレトロな雰囲気や、

                    シーンごとに変わる綾瀬はるかさんの衣装や色鮮やかな風景

                    だけでも充分に楽しめました。★だと4くらいかな?

                     

                    現実でのラストと、彼女との出来事を書き綴った脚本の
                    仮想ラストがそれぞれに描かれていて、これはこれで

                    王道 『タイタニック』 調なベタさもあり、日本映画なら

                    『蒲田行進曲』 的でもあり、いずれも映画愛に溢れていて、

                    細かいことを考えず、作中でもお姫様が語っていたように

                    “映画で楽しんでほしい” という想いが伝わってくる作品でした。


                    単なるパニック物でないところに好感◎の 『ジオストーム』

                    0

                      『ジオストーム』 を、仕事の合間に観てきました。
                      1日に複数の取材・撮影がある時は、どうしても1本目が
                      押した時の余裕を持たせるため、2本目のスケジュールに
                      余裕を持たせるため、1本目がスムーズだと時間が空いて
                      しまうのです。そういうパターンで観た映画が何本あることやら。
                      http://wwws.warnerbros.co.jp/geostorm/

                       

                      予告編だけは観ていて、まあ恋人が凍っていくというシーンから
                      氷や火の玉がノストラダムスの大予言のようにどかどか落ちて
                      きたりする 『ジョーズ』 みたいなパニック物で、さらに
                      「I'll be back」 的な親子のシーンが予告にあったこともあり、
                      『アルマゲドン』 みたいな展開で、問題解決なのかなと勝手に
                      想像していたら、いい意味で予想を裏切られました。

                       

                      確かに天災のシーンは、津波、火の玉や雹の落下、竜巻、地割れ
                      など、2Dで観ていても3D感満載なのですが、メインはそちら
                      ではなくて、その異常気象を起こしている黒幕を見つけ出す
                      というサスペンス的な面白さがあるのです。

                       

                      気象コントロール衛星の暴走によって起こされる天災のシーンや
                      カーチェイスシーンなども迫力がありますが、冒頭で提示される
                      クルーの事故死の背景に迫っていくストーリーの流れもまた
                      手に汗握る内容です。それもあるので、3Dで観ればよかったとは
                      思いますが、親子・兄弟・恋人といった人間関係もきちんと
                      描かれているので、3D・IMAXだと天災の方だけに意識が行って
                      しまいかねないこともあり、3Dくらいが良いかと思われます。


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