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- 2023.07.11 Tuesday
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『アキラとあきら』 は、今や売れっ子作家の池井戸潤さんが
2006年から2009年にかけて連載していた初期の頃の小説を
徳間書店が文庫化し、一気にWOWOWでドラマ化される作品。
ドラマ決定が先なのか、文庫化が先なのかは謎です。
初期作品なだけに、全く違った生まれでありながら、ある
人生の課題を共有する展開で、バンカー物ではありますが
半沢直樹のような “ビジネス系” というよりは、ふたりの
青年がある経営課題を乗り切る青春物的な要素があります。
一人は、小さな町工場の息子として生まれ、その町工場が
倒産してしまい苦しい生活を送ってきた山崎瑛(あきら)。
もう一人は、それとは対照的に大手海運会社の長男として
生まれ、親族経営の家業を継がない道を進んだ階堂彬。
子供の頃、お互いクロスした瞬間があったことを知らぬまま、
成長した二人は、あの 「産業中央銀行」 でバンカーと
して働き始めます。入行時の新人研修での稟議書対決でも
二人はその才覚を発揮し、その時のテーマが作品の伏線
にもなっています。
二人とも切れ者であるという点は共通していますが、
働くスタイルは、二人のそれまでの人生経験や環境の違いが
感じられる人物描写となっていて爽やかなイメージ。
ストーリーの大きな流れとしては、階堂家の関連会社や
彬の父の死後の社内でのクーデターなど、階堂家が経営する
「東海郵船」 グループの融資やM&Aが中心となりますが、
経営課題以上に、叔父や弟に対する彬の心の動きが
見どころだと思います。
時代は、ちょうどバブル前からバブル崩壊後までとなって
いるので、それだけで読者も企業経営に降りかかる課題の
予想がつくだけに、ハラハラ感満載。
そんなメインの流れと並行して描かれる、瑛の再就職先
での出来事や、町工場の作業員だったヤスさんの
エピソードもちょっとした短編が挿入されているようで
作品のメリハリとなっていました。
ただ、登場する女性の描き方がややステロタイプというか、
「どうしてこの人がこの女性と結婚したのかわからない」
感じでした。
ラストは、半沢直樹のように “スカッと” はしませんが、
心温まる風景が広がっています。
ドラマはダブル主役ということで、文庫についてきた
しおりにも斎藤工さんと向井理さんが載っていましたが、
山崎瑛は斎藤工さんの方が似合いそうだし、演じれそう
だな〜と思って、これを書く前にチェックしたら、
期待通りでした。ダブル主役ですが、どちらかと言えば
山崎瑛が真の主役。おいしい役だと思います。
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