新鮮なセンスがファンタスティックな 『金の国 水の国』

2017.01.11 Wednesday 23:37
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    「このマンガがすごい! 2017」 のオンナ編で1位
    となった 『金の国 水の国』(岩本ナオ著、小学館刊)
    を読んでみました。連載物が多い中、300ページ近い
    大作ですが、1冊完結というところがポイント。

     

    絵はうまいのか、私の好みでないのかわからない、
    ほんわかした感じでしたが、いろいろ新鮮でした。

     

    メルヘンチックでありながら、意外と現実的だったり、
    主人公の男女より脇役の方が美形だったり、コマ割も
    右ページの3分の2を読んだら、左ページ、そして
    下3分の1が見開きのコマで、最初の内はそのまま、
    右下まで読んでしまって 「ん?」 ということも。

     

    神様から与えられたミッションが行きつく先は…

     

    ストーリーは、荒れ地ながらも商業の拠点として
    栄えているA国と、自然と水が豊かではあるものの
    度重なる戦争で疲弊して生活水準が低いB国があり、
    その仲の悪い隣国を見かねた神様が、A国からは
    国で一番美しい娘をB国に嫁にやり、B国からは
    国で一番賢い若者をA国に婿にやれというミッション
    を与えるところから始まります。

     

    ところが、それぞれA国には犬、B国には猫が
    届けられ、A国の姫と、B国の若者は国際問題に
    ならないよう、お互いに嫁と婿の身代わりとして
    A国の第一王女や、B国の族長に紹介。

     

    さらに、A国王の娘婿(の身代わり)となった
    若者は、オアシスの水が枯れかかっているA国の
    左大臣と組んで、ある行動を起こすのでした。

     

    イケメン俳優で第一王女の愛人の左大臣や、
    もとマッサージ師で王様の側近になっている
    右大臣、見た目からは想像できないマッチョな
    知識階級の人たち、安藤忠雄さん似の建築家、
    美少年好きなB国の族長など、意外性に富んだ
    キャラクターも作品の魅力。

     

    また、トルコやイスラム圏のイメージがベースと
    思われるA国と、チベットがベースと思われる
    B国の風景描写も、色彩が感じられる表現で
    仮想シルクロードな雰囲気を醸しています。

     

    ここからネタバレ

     

    最初に、右大臣に立てついた子供が、ラストの
    方で、すっかりイケメンに育っている伏線回収も
    少女漫画らしくて、微笑ましい作品でした。
    近年の 「このマンガがすごい! 2017」 に選ばれた
    作品の中でも、新鮮味があって秀逸。

     

    最初は、「え? これがヒロイン?」 と感じた
    ぽっちゃり姫様がいつの間にかかわいく見えて
    くるのが不思議。

     

    B国の猫が送られてきた家のお父さんから、
    A国から嫁入りした絶世の美女役の身代わりを
    頼まれてビビるぽっちゃり姫様に、その家の
    主人が説得する「あんたからは育ちの良さや
    気立ての良さがにじみ出ているよ。大丈夫、
    あんたの前じゃ役(絶世の美女)の方が不足
    だよ」 というセリフにも納得できます。

     

    主人公となるふたりの不器用さと純粋さが、
    心に染み入る作品でした。A国王女がB国から
    戻る道で、設計図を家に取りに帰るB国の
    青年がすれ違い、王女のススメで夜道に彼女を
    残して、B国の自宅へと急ぐ、一瞬の情景が
    とても印象的。二人がすれ違う橋の上の情景が

    美しい…。

     

    また、B国との戦に邁進するA国王に語る、B国
    青年・ナランバヤルの言葉は、A国王が抱える
    大きなストレスを解きほぐす魔法の言葉。

     

    「寛容の王」 としての自信を取り戻した王様に、
    ナランバヤルが水道橋の名には家族の名を
    つけてあげれば、“家族思いの王” としても
    名が残るという提案が成されますが、ぜひ
    健気な娘であるサーラ姫の名前をつけてあげて
    ほしいと感じました。

     

    枯渇寸前の水の確保のため、B国の水源を手中に

    収めようとしていたA国王が、B国族長と対峙して、

    自国に猫を送り付けた無礼も “水に流して” 友好を

    申し出るセリフも効いていました。

    絵柄、キャラ設定、世界観、コマ割、全てにおいて

    新鮮な感覚とセンスにあふれた名作です。

    category:漫画 | by:まるたん | - | - | -

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    2017.12.11 Monday 23:37
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