個々の視点の違いが面白い 『神様の裏の顔』

2017.03.10 Friday 23:32
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    お笑い芸人の著書を…というと、文庫化された 『火花』
    かと思われるでしょうが、NHKドラマを楽しく見るため、
    大量に刊行された単行本 『火花』 がBOOKOFFで安く手に
    入るタイミングを待つことにして、「第34回 横溝正史
    ミステリ大賞」 受賞作の 『神様の裏の顔』(藤崎翔著、
    角川文庫)を取材の移動中に読破しました。

     

    というくらい、サクッと読みやすい作品です。
    冒頭、葬儀社の社員が驚くほど、子供から老人までの
    さまざまな年齢の弔問客が涙で別れを惜しまれる
    元・教師の坪井誠造。

     

    彼の生前の思い出を、娘、教え子、元同僚の教師、
    近所のおばちゃん、坪井家が所有するアパートの住民、
    それぞれが一人称で語る叙述形式。

     

    通夜が読経、焼香、喪主挨拶と進む内、読者は個々が
    語るエピソードの中に、彼の “裏の顔” があるのでは
    ないかと気づかされ、それに気づかない当事者たちが
    どういった形で、各自の情報を交換するのかハラハラ。

     

    通夜ぶるまいで、アパートの住民で、売れない芸人の
    寺島がつぶやいた一言をキッカケに雪崩のように、
    坪井誠造に対する疑惑が広がり、犯罪者かと思われる
    ほどに話が膨らんでいく、ドミノ現象にドキドキ。

     

    その状況を再び一転させたのが、言い出しっぺの寺島。
    悪人・坪井誠造を作り上げた裏には、弔問客一人ひとりが
    隠していた “裏の事情” があり…と、弔問客の家族
    事情や人間模様も面白く、伏線回収もキッチリ。

     

    彼らが抱えた疑惑を耳にしてしまった、喪主である娘と
    話し合うことに。彼らが行きついた結論とは?

     

    坪井誠造がどんな人間であったにせよ、彼の死を通して
    弔問客たちが心の奥に抱えていた秘密を解き放てたことを
    考えれば、坪井誠造は “神様” でした。

     

    そして、さらに彼らが出した結論を覆すような、お約束の
    どんでん返しもあって、細かい計算が多い数学の公式を
    解いた後や、損益計算書と貸借対照表がぴたっと一発で
    整った時のような満足感がありました(笑)。

     

    深夜枠のドラマに合いそうな作品ですが、叙述形式が
    この作品の面白さなので、映像化はむずかしいかも
    しれませんが、舞台化なら可能な作品かもしれません。

     

    謎解きよりも、人間模様を楽しむミステリーっていう
    感じですね。手軽に読めてGOODでした。

    category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

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    2017.09.20 Wednesday 23:32
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