モノクロで重厚な写真集 「マンホールのふた(日本篇)」

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    Amazonでは手が出せなさそうな金額設定だった写真集を
    ヤフオクで原価(2900円)以下で購入でき、その本が
    ついに我が家に届き、日中、激暑で疲弊したテンションが
    一気にアップしました。

     

    初版が1984年3月30日。林丈二さんが撮影・執筆された
    「マンホールのふた(日本篇)」(サイエンティスト社)で、
    私が手に入れたのは、1995年末の三刷です。

     

    約10年で2回重版しているというのも、写真集としては
    めずらしく、そのニッチな内容からかと思われます。

     

    モノクロ写真集なので、鉄の重厚感が伝わってくるよう。
    「マンホールは社会インフラ」 ということを、あらためて
    感じさせてくれる記録が詰まっている一冊です。

     

    私が好きなデザインマンホールはありませんが、行政、
    上下水道、ガス会社などの文字が刻まれているものも
    多く、書体をアートとして楽しむことができます。

    今でも、「制水弁」 の 「弁」 の字は作った職人さんの
    遊びも見られますが、昔のマンホールは絵がない分、
    「拓本にとりたい!」 と感じるものもありました。

     

    後半は、各都道府県のマンホールを紹介していますが、
    もはや撤去・交換されてしまったと思われる雰囲気の
    物が少なくありませんでした。まあ、初版が30年前
    なので、劣化による危険性を考えるとしごく当然。

     

    ネットもない時代に、一人で本や直接その団体・組織に
    問い合わせて、まとめ上げた著者・林氏の徹底した
    姿勢には、“わからないのはスルー” の私からすると、
    頭が下がるどころか、頭をマンホールに突っ込みたい
    くらいの思いです。

     

    また、この本を紹介してくださった 「日本マンホール蓋学会」
    の管理人様のおかげで、門司港から山口県へと通過
    できそうです。この場を借りて感謝申し上げます。
    http://sky.geocities.jp/usagigasi1f/

     

    (関門トンネルが2018年で60周年なので、おそらくこいつも還暦)

     

    おかげ様で、関門橋海底にある 「関門人道」 の
    山口県側の出口にあった “謎のマンホール” が
    旧建設省のマンホールだということがわかりました。


    お金と幸せの関係を追求する 『億男』

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      川村元気さんの 『億男』(文藝春秋社刊)を読みました。
      タイトルの通り、お金にまつわるストーリーです。
      正しくは、お金に翻弄されると言った方がいいでしょうか。
      実写映画化されるそうです。
      http://eiga.com/jump/Fe37c/

       

      弟の借金を背負って、図書館司書とのダブルワークで
      借金返済のためのオーバーワークな日々を過ごす一男。

       

      お金に振り回される日々に、妻との溝が深まり、妻は
      娘を連れて家を出てしまい、将来が見えない毎日を
      送っていた一男が、ひょんなことから宝くじを手に入れ、
      3億円当選! 一気に大金をつかんだ一男は、お金の
      使い方がわからなくなり、学生時代の友人・九十九に
      再会します。九十九は学生時代にIT関連で起業して
      大成功を収めたものの、会社を売却した経歴を持って
      いることから、大金を持って人生を踏み外さない方法を
      知っているのではないかと考えたからです。

       

      ところが、再会したのも束の間、九十九が宝くじで
      当てた3億円を持って行方知れずに。

       

      一男は、九十九の居場所を知っている可能性がある
      九十九と一緒に会社経営に携わっていた3人の仲間である
      十和子、百瀬、千住らに会い、九十九の行方を追うと
      同時に、会社売却で大金を得た彼らからお金についての
      それぞれの考え方と生き方を知っていく展開。

       

      九十九は見つかるのか、そして一男は突然手に入った
      大金の使い方、お金との向き合い方が見つかるのか、
      サクサクと読み進められる作品です。

       

      お金にまつわる言葉やエピソードも盛り沢山

       

      作中には、一万円札の福沢諭吉の言葉をはじめ、実業家、
      神学者、作家、経済学者などのお金に関する金言のほか、
      お金の雑学も散りばめられています。

       

      中でもチャップリンの 『ライムライト』 のセリフ、
      「人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの
      少しのお金さ」 という言葉は冒頭にも登場し、後の
      展開のキーにもなっています。

       

      また、九十九が学生時代に得意としていた落語の
      「芝浜」 もいい感じに生きていて、私は思わず
      「お金を九十九に持ち逃げされたという事実自体が
      夢落ちだったらどうしよう」 と、かなりズレた感覚で
      読み進めていました(笑)。

       

      『億男』 の実写映画に出演予定の高橋一生さんの
      解説も、「芝浜」 に絡めた見事な文章で、正直
      驚きました。

       

      “好きなら知りたくなる” はずなのに、知らなかった事実!

       

      一男が到達した境地は、本書を読むか、映画を観るか
      していただくとして、私が感銘(?)を受けたのは
      1万円札が1円玉と同じ1グラムという事実!

       

      1円玉が1グラムというのは、学校で浮力を学んだ時か
      何かで知っていましたが、1万円札も1グラムとは。
      縦76ミリ、横160ミリだそう。

       

      その豆知識を一男に披露した九十九が 「本当に興味が
      あれば、お金をすべてを知ろうとするはずなんだ。
      (中略)だけど君は今までそんなものを見たことが
      ないだろうし、知ろうともしてこなかった。つまり、
      気味はお金に興味がないんだ」 と語るのです。

       

      ってことは、1円玉の知識だけ入れてた私は、1円
      レベルでお金に翻弄されているのだろうか!?

       

      日銀の 「貨幣博物館」 で、1億円の束を持ち上げた
      ことがあるのに、力自慢で終わってたかも?
      https://www.imes.boj.or.jp/cm/

       

      九十九理論を頭に入れ、まずは1万円札のサイズは
      暗記してみることにしました。

       

      【関連記事】
      ◇「貨幣博物館」 で1億円分持ったどー!
      http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2062


      『ラプラスの魔女』 映画化は福士蒼汰さんの怪演に期待

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        京都旅行について書いている間、本や漫画を読み、
        映画にも行っていたので、溜まってる、溜まってる。
        何から手をつければいいのか、すでに賞味期限切れの
        ネタもあって、東野圭吾さんの 『ラプラスの魔女』
        (角川文庫)から再稼働です。
        http://www.laplace-movie.jp/

         

        櫻井翔さん主演で映画化されるようですが、彼が演じる

        地球化学の研究者・青江は、ガリレオシリーズの
        物理学者・湯川学と違って、ある意味、語り部的な
        役割なので、意外とどーんと正面に出ずに距離を置いて
        事件を見るという立ち位置は、櫻井さんに向いているし、

        その距離感が地球化学者としてのクールさが際立つかも。

         

        文庫の裏表紙に書かれている程度に、ストーリーを
        紹介すると、ある温泉地で硫化水素中毒で映画監督が
        死亡するという事故が発生。年齢の離れた若い妻に
        疑いの目が集中しますが、殺害の手段は特定できず。

         

        さらに数カ月後、今度は売れない俳優が同じように
        別の温泉地で硫化水素中毒で事故死。

         

        その二つの事件を関連付けて動く警察官。温泉地の
        安全性の調査を依頼され、偶然、両方の現場で同じ
        若い女性を見かけた地球化学の研究者。それぞれの

        角度から、その事件の共通性と、もしかすると
        今後起きるかもしれない連続殺人を追うストーリー。

         

        フーダニットというよりは、「HOW」「WHY」 が焦点と
        なるミステリーです。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 を刊行
        した角川文庫なので、東野作品の 『虹を操る少年』 や
        『ナミヤ』 系のファンタジックな方に流れてしまうのか、
        ガリレオ的に科学的なトリックになるのか、どっちに
        ころぶかも読んでいてスリリング。

         

        最後の一行の意味深さも怖くていいので、ここは原作通り
        に残してほしいところです。

         

        「一般の人が愛情と呼んでいるものは、脳に組み込まれた
        単なるメカニズムに過ぎない」 という考え方も、現在
        世の中で起きている現象を見ると事実のような気もするし、
        それが幸福なことなのか、人間にとってそこを研究し
        掘り下げるのは禁断なのか、最後の一行で問題提起されて
        いるようにも感じました。

         

        広瀬すずさんは適役だと思いますし、『ちょっと今から
        仕事やめてくる』 の死神的な役にも少しかぶるものがある
        福士蒼汰さんの違った一面も見られそうで楽しみです。
        逆に、福士蒼汰さんのファンの方は原作を読まないで
        映画を観た方がインパクトあるような気もします。

         

        文庫の帯を見て、おそらく豊川悦司さんはこの役だろう
        と思ったキャスティングとなっていました。

         

        ボディガード役の武尾役はできれば、高嶋政伸さんより
        高嶋兄の方が私の印象には近かったです。
        地味ながらも、ここ一番で光る美味しい役だし。

         

        原作を読んでから観た方がいい映画と、観なくても
        監督が作り出す世界観で十分行ける映画に分けるなら、
        こちらは後者かもしれません。

         

        【関連記事】
        ◇加賀恭一郎の謎も一つ解ける 『祈りの幕が下りる時』
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        ◇死刑制度について考えさせられた 『虚ろな十字架』
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        ◇ロジカルな展開が秀逸な 『夢幻花』
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        ◇偶然のような必然 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
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        ◇まさしく傑作 『麒麟の翼』
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        ◇テレビ向き? 『プラチナデータ』
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        ◇加賀恭一郎の新章突入といった感じの 『新参者』
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        ◇『ちょっと今から仕事やめてくる』 でひと時の清涼感
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        ◇原作未読&前作未観賞でも感動できる 『祈りの幕が下りる時』
        http://nureinmal.jugem.jp/?eid=3459
        ◇どんと来い、超常現象 『虚像の道化師』 は◎
        http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2395


        宮沢賢治という原石を輝かせた 『銀河鉄道の父』

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          第158回直木賞受賞作品の 『銀河鉄道の父』(門井慶喜著、
          講談社刊)を読みました。宮沢賢治の父親である政次郎から
          見た “息子・賢治” が描かれていて、一般的には信心深く、
          農民に愛され、鉱物に詳しく、妹に優しいという聖人的な
          イメージとは違った、人間味溢れる宮沢賢治像となっています。

           

          以前、塩野七生さんの著書で 『サロメの乳母の話』(新潮文庫)
          という短編集の中に 「キリストの弟」 という、神とされる
          キリストを家族から見た作品があって、母・マリアにとっては
          さまざまな災難の元凶であり、最後は磔刑という逆縁の不幸を
          もたらした息子としてのキリスト像が新鮮でしたが、この作品も
          そうした驚きと発見があります。

           

          とくに、ある程度、宮沢賢治作品を知っていて、著者略歴
          くらいの知識があると、さらに意外性を楽しめると思います。

           

           

          私も 「宮沢賢治展」 のようなイベントがあると見に行く
          くらいは好きなので、彼が富裕な家庭の長男として育ったことは
          知っていましたが、農民から金貸しとして恨まれる質屋で成功
          した家だったのは失念していました。

           

          また、太宰顔負けに親にお金の無心をしては、やりたいことを
          探しているのか、家業を逃避しているのかもわからない、
          いわゆるモラトリアムな青年期だったのも予想以上でした。
          聖人的な要素がほとんどなし!

           

          それよりも、父・政次郎は、自分自身も成績は良かったのに、
          「質屋に学問を必要ねぇ」 という彼の父からの言葉に従い、
          浄土真宗を信仰し、質屋と陰口を言われつつも地元の名士と
          して子供たちに教育を受けさせ、『永訣の朝』 でも有名な
          娘・トシ、そして賢治を見送り、1957年まで生きた、一般的な
          常識からすると立派な社会人です。

           

          片や賢治はというと、父の望まない学校に進学するわ、
          日蓮宗系の宗教団体の活動をして金稼がないわ、さらには
          親からの出資で人造宝石を作る事業をやるとか言い出すわ、
          よく言えば自由人。一方で世間知らず。そのダメっぷりが

          政次郎というフィルターを通すと、かわいく見えてしまうから

          不思議です。

           

          そして、思った以上に病弱だったのですね。「雨ニモマケズ」
          を賢治が病床で書かれていたと思われるエピソードもあり、
          賢治一周忌に 「岩手日報」 が掲載したとい全文が引用
          されていて、これまで以上に 「丈夫なカラダヲモチ」 という
          一説の重さに泣けました。

           

          賢治が子供の頃に赤痢になった際は、政次郎が自ら賢治の
          看護をして、そのために自分も体調を崩してしまい、以降、
          消化器が弱くなって、彼が死ぬまで夏は粥しか食べられない体に
          なってしまったというエピソードは、政次郎の偉大な父性が
          象徴されていると思います。

           

           

          商才もあり、世の流れを読んだ投資などもして稼いでいたと
          いう政次郎だけに、明治の男の割に、息子のわがままにも
          かなり柔軟なのには驚かされました。頭ごなしに怒らず、

          適度にたしなめ、最終的には経済的な支援をするなど、

          とにかく子煩悩。サウイフチチヲワタシハモチタカッタ。

           

          不器用な “石っこ” 賢治を、詩人・童話作家という銀河の
          世界に導いた一人として、父・政次郎の存在があったことを

          感じさせてくれる作品でした。

           

          何より、政次郎が長生きして、息子の作品が世に認められ、
          おそらく教科書にも載るようになったのを知って、浄土に
          行けたのは良かったと思えました。きっと、政次郎は夏に

          なって粥を食べながらも、息子・賢治のことを思い出して

          いたかもしれない…そんな微笑ましさも残るラストです。

           

          あめゆじゅとてちてやけんじゃ

           

          教科書では、たしか小学校か中学で 『よだかの星』、
          高校で 『永訣の朝』 が載っていて、「あめゆじゅ
          とてちてやけんじゃ」 の意味も脚注に書かれており、
          妹・トシが死んだ時のエピソードを知りました。

           

          意味がわかりにくいのと、まだ脳細胞が成長期に
          あったせいか、言葉としてでなく音で覚えています。

          モデブリンとか、イーハトーブといった音楽的な

          言葉も、宮沢賢治作品の魅力の一つだと思います。

           

          『風の又三郎』 は、母がよく歌っていたのと、家に
          絵本がありました。そのせいか、今でも宮沢賢治作品は
          『銀河鉄道の夜』 より、『風の又三郎』 が好きです。

           

          一番自分のイメージに近い挿絵画家の本に買い替えて、
          行きついたのが、『宮沢賢治絵童話集・風の又三郎』
          (伊勢英子イラスト、くもん出版刊)です。
          ここまでで、3冊は買い替えたかも?

           

          伊勢英子さんの絵が、私にとってはしっくりとくるので
          『水仙月の四日』(偕成社刊)も持っています。

           

          (別の宮沢賢治くんが活躍する 『文豪ストレイドッグス』)

           

          『銀河鉄道の夜』 は他の挿絵画家の本でゴールかなと
          思っていますが、まだ 『セロ弾きのゴーシュ』 で
          「これ!」 と決められる本と巡り合えません。
          それはまあ、おいおい…。
          まずは、『蜜蜂と遠雷』 が単行本になる前に読破せねば!

           

          【関連記事】
          ◇我ら光の道を踏む―宮沢賢治
          http://nureinmal.jugem.jp/?eid=338
          ◇音や空気を感じる 『風の又三郎』
          http://nureinmal.jugem.jp/?eid=1159
          ◇震災から5年 『萩尾望都作品集 なのはな』
          http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2797


          実はサイエンスホラー 『がん消滅の罠 完全寛解の謎』

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            2017年の 「このミステリーがすごい! 大賞」 作品
            『がん消滅の罠 完全寛解の謎』(岩木一麻著、宝島社文庫)
            をやっと読了しました。仕事の合間に読んでいたことや、
            医学用語がかなり専門的なので、三歩進んで二歩戻ったり
            していたこともあり、ちょっと時間がかかりました。

             

            大きく分けて解き明かす謎は3つ。
            登場人物紹介を兼ねての小さなガン消滅エピソードと、
            メインとなる 「湾岸医療センター」 で発生している
            ガン消滅治療の謎が2パターンあるので、その3つです。

            殺人事件ではなく、末期ガンの患者がなぜかその病院で
            治療すると、見事にガンが消滅してしまう 「活人事件」
            というテーマは面白いと思いました。

             

            そして、370ページある中の後半50ページくらいの
            目まぐるしいどんでん返しや、ラスト1行までの意外性に
            驚かされます。私はまず (゚Д゚) キョトーンでしたが…。

             

            ちなみに、ガンは英語では 「Cancer(カニ)」 なのに、
            カニはガンになりにくいという雑学もあったりして満足。

             

            専門的な医学知識については、医師・研究者・保険会社の
            登場人物たちが飲み会的な場で、一般人にわかりやすく、

            解説してくれているので、何とかついていける感じでした。

             

            で、最後に感じたのは、これって医療系ミステリーでなく、
            サイエンスホラーではないかということでした。
            「このミステリーがすごい!」 の 「すごい」 は、本来の
            意味の 「凄い=恐ろしい・非常に気味が悪い」 だと衝撃を
            受けるかと思われます。

             

            ここからは今回言わずにはいられないネタバレ

             

            医学的な内容が専門的過ぎて、本当にそういったことが
            可能なのか(行為ではなく現象として)、トリッキー
            なのかが判断できないせいか、種明かしされてもどこか
            もやもやが残りました。

             

            また、それぞれのキャラクターがストーリーのために
            動いているようなことと、この作品の核となる先生の
            人間性が今一歩わからない感じがしました。
            中では、目立つキャラだった夏目の友人・羽鳥も作品の
            重要な存在ではあったものの、とくに謎解きにおいては
            最初のエピソードでしか活躍せず、ちょっと肩透かし。

             

            事務長の存在は必要だったと思いますが、エピソードは
            親族がガンで多く亡くなっている私としては、末期ガンで
            苦しんでいる様子を見ているだけに、あまり気分の良い
            ものではありませんでした。どっちかというと妻の気持ちを
            汲んであげられなかった先生の方が悪いのではないかと。

             

            実は、最後の1行については 「おお、やられた!」 と
            ならず、私の場合、「どういう意味だ、こりゃ?」 と
            思ったばかりか、「もしかして、死んだという娘も
            最初の話と同じく、禁断の双子落ちか!?」 とまで
            思ってしまい、伏線探しで再度367ページのくだりを
            読みましたが、最後の1行になるのは強引と言うか、
            かなり稀な偶然過ぎる気がして、やや納得いかないですが、
            あれって、やはり367ページつながりなんでしょうね?
            それすら自信がない私です。

             

            もやもやしていたところ、『相棒 season16』 の15話

            「事故物件」 がレトロなミステリー調で気分転換になりました。


            『西郷隆盛はなぜ犬を連れているのか』 で知ったトリビアいろいろ

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              2018年の大河ドラマは 『西郷どん(せごどん)』 だそうで、
              西郷隆盛関係の本がいろいろ出ている中、『西郷隆盛はなぜ
              犬を連れているのか』(仁科邦男著、草思社刊) を読みました。
              https://www.nhk.or.jp/segodon/

               

               

              移動の時にも船に3匹も犬を連れていたり、西南戦争の時も
              自刃のギリギリに犬を放したといった、西郷隆盛が犬好き
              だったエピソードを絡めて、彼の生き様が描かれていました。

               

              以前、仁科氏の著書では 『犬の伊勢参り』(平凡社新書)
              という作品を読んだ時にも、司馬遼太郎さんが犬の伊勢参り
              の話をにべもなく単なる都市伝説的に一刀両断しているのに
              対して、いろいろ反論していましたが、今回も司馬さんの
              会話入りで、司馬さんの著書 『翔ぶがごとく』 についても
              著者との見解が違う点を指摘されていて、著者は司馬さんに
              対するアンチ的な愛情すら感じました。

               

              少なくとも、西郷さんが犬好きだったのはわかりましたが、
              銅像で犬がいるのは上野公園の西郷さんだけ。

               

               

              先日、上野動物園に行った際にちょっと寄ったら、よく
              西郷さんの頭にかかってしまっている鳩のフンがきれいに
              拭かれていて、修学旅行生らしき集団が見学していました。

               

              上野公園の西郷さん像は、正面から撮影するよりも右下
              からあおって撮影するのが好きですが(フンがかかって
              頭が白いこともあるし)、今回は光の都合で正面から。

               

              (裾のなびき方に高村光雲の力強さが感じられる。金剛力士像的イメージ)

               

              『西郷隆盛はなぜ犬を連れているのか』 にもこの銅像の
              説明がしっかりしてあって、一応、この犬はツンという
              設定にはなっているのですが、モデル犬は別にいたこととか、
              ツンは雄犬だけど銅像は雌犬だとかいった、トリビアな
              犬情報がGETできました。犬種はツンと同じ薩摩犬で、
              野性の血が濃い猟犬だそうなので、狼に近い精悍な表情です。

               

              上野公園の西郷隆盛像でのすったもんだ

               

              上野公園にこの銅像があるのは、彰義隊と戦った時の
              司令官だったことからですが、その後は下野(げや)して
              西南戦争で政府軍と戦うという数奇な運命だったことから、
              西郷さんの軍服姿に対しては元帥たちから反対された
              そうです。そこで、彼らしさを表現するため、兎狩りに
              行く姿をイメージした像にすることになったとのこと。

               

              それでもすったもんだがあって、その論争を鶴の一声で
              シャットアウトさせたのが、五稜郭では幕府軍として
              政府軍とたたかった榎本武明という展開に、運命的な
              ものを感じました。

              旧幕軍の怒りの幕引きをした榎本武明が、旧士族の不満を
              幕引きした西郷隆盛の像に対して発言したという流れが
              何とも言えません。

               

              また、著者によると、兎狩りをする際、本来は足元を
              しっかり防備し、草むらなどで怪我しないような装備を
              するのですが、それだと西郷さんの人となりが表現しづらい
              ということで、“近所へお散歩” みたいな着物になって
              いるそうです。

               

              鹿児島県の西郷隆盛像

               

              西郷さんの地元である鹿児島 「城山公園」 には軍服の
              キリリとした銅像がありました。「城山公園」 周辺には
              西郷洞窟や終焉の地などの史跡が多数点在しています。

               

              (鹿児島には坂本龍馬とお龍の新婚旅行像もある)

               

              さらに、鹿児島空港近くの 「西郷公園」 の銅像は、もはや
              銅像の域を超えた大仏のようなでかさです。
              http://saigoukouen.com/

               

              (下の方にあるのが電柱です。そのでかさは推して知るべし)

               

              上野公園の銅像除幕式で、西郷さんの妻であるいとさんが
              「こんな人ではない」 と呟いたため、イタリア人画家の
              キヨソネイメージの顔は違うのではないかといった論争も
              ずっと続いているようですが、写真嫌いの西郷さんの顔は
              イマイチ特定できていないようです。

               

              幕末本の西郷隆盛イラストでのすったもんだ

               

              とくに、幕末の頃。イラストの仕事をしていた頃に、
              幕末についての本を手掛けました。著者の方から最初、
              大久保利通も西郷隆盛も幕末の写真をベースにという
              指示があって、大久保利通は正面向きの片膝立てた
              幕末写真があったのですが、西郷さんないし!
              維新後のだって、キヨソネの絵がメジャーだし!
              あれって西郷さんの弟・従道と、従弟の大山巌を混ぜて
              描かれたのは結構有名だし、どうするねーん!
              ってことで、いろいろ調べたことがありました。

               

               

              よく、西郷さんの本当の顔というと語られる、オランダ人の
              法学者・フルベッキ博士との集合写真が何枚かありますが、
              その1枚にフルベッキの息子が入っている写真もあり、
              その子供の成長から計算すると、西郷さんだと言われている
              人ではないという結論になるのです(詳細は省く)。

               

              どちらにせよ、影武者だった人の顔や、江戸時代には
              一時期、島流しになっていたこともあり、ガッチリして
              頬骨は張っている人だったようなので、鈴木亮平さんは
              “若き西郷” 時代はとくに体重調整しなくても良いかと
              思われます。

               

              (西郷さんは右から二番目の人と言われている。諸説ありまくり)

               

              で、私としては、内田九一氏が撮影した画像が一番
              信憑性が高い気がしたのですが、著者の気が変わって
              「西郷さんの方だけはキヨソネで行こう」 と言い出し、
              結局、あの絵をデフォルメしたイラストを入れました。

               

              龍馬の 「船中八策」 イラストは、いくつかの写真が
              ある中、あえて 「寺田屋」 に飾られている、暗殺される
              少し前の絵をベースで描くという意見が通って嬉しかった
              ですが、西郷さんの写真嫌いには、資料集めでかなり
              苦戦させられたのでした。

               

              ってか、そういうのって本当は著者が用意するんじゃね?
              出来高だけじゃなく、資料収集費は別料金じゃね?

               

              脳内上書きのすったもんだ

               

              仁科邦男さんは、司馬史観に関して物申したいスタンスが

              ゆるぎないのですがが、私はどうしても西郷隆盛というと

              大河ドラマ 『翔ぶがごとく』 の西田敏行さんが西郷ベースで、

              大久保利通はやや面影ある鹿賀丈史さんイメージから脱却

              できていません。

               

              それでも、織田信長は昔は高橋英樹さんだったのが、どの

              大河ドラマだったか忘れましたが、反町隆史さんに上書き

              されました。坂本龍馬は、夏八木勲さんだったのが、なぜか

              『仁』 の内野聖陽さんです。福山さんも良かったけどね。

              そして、不動の足利尊氏は真田広之さんでフィックス!

              石川五右衛門も、根津甚八さんでフィックス!

              お市の方は、永遠の夏目雅子さんです。

               

              鈴木亮平さんが、釣りバカ・西田敏行さんを上書きして

              くれることを祈っています。

               

              そして、全然話が変わるのですが、今年になっての大発見!

              というか大誤解が発覚! 大河ドラマ 『花の乱』 のせいで

              細川勝元はてっきり断髪後、僧となって旅に出たと思って

              いたら、同じNHKの 『歴史ヒストリア』 で病死と紹介されて

              いました。虚構や架空の人物が跋扈する中で、どこまでが

              史実で、どこが原作者と脚本家の虚構部分か見極めることも

              大事だと痛感しました。


              『キャプテンサンダーボルト』 の9回裏の逆転サヨナラ感

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                獄中のホリエモンじゃありませんが、PCが使えない状況
                だったので、その間、読書しました。

                 

                『キャプテンサンダーボルト』(文春文庫)上下巻です。
                阿部和重さんと伊坂幸太郎さんのコラボというだけあって
                適度な危機一髪と、上巻で次々とばらまかれた伏線が、
                下巻で謎が明かされ、さらには見事に回収される見事な
                構成に圧倒されます。共作というけれど、どういう
                スタイルでの共作なのかわからない一体感です。
                テイスト的にはやや伊坂幸太郎さん的かもしれません。

                 

                主人公は、相葉と井ノ原という、どこかの事務所を
                思わせる二人で、少年時代、一緒に野球をやっていた
                チームメイト。

                 

                それぞれにお互いの人生は風のうわさに聞きつつも、
                顔を合わせなかった二人が再会。再会シーンも笑えます。

                 

                相場は母のため、井ノ原は妻と息子のため、どうしても
                近い内にまとまったお金が必要という理由で、悪友
                コンビが、相葉が首を突っ込んでいた法的にはグレー
                ゾーンな仕事に協力することになり…。
                実は、井ノ原も密かに息子の医療費捻出のため、人には
                言えないダブルワークをしており、そこで手に入れて
                いた情報が、相葉が巻き込んだ騒動とシンクロして、
                背後にある大きな謎の組織が浮かんできます。

                 

                謎の組織の銀髪の怪人、警察・自衛隊などの国家権力、
                アメリカのハードボイルド物に出てくるように登場
                する美女とその秘密、二人が子供の頃に大好きだった
                戦隊物ヒーローとお蔵入りになった映画、歴史的な
                国家ぐるみの隠ぺい、東京大空襲の異説、そして
                相葉と井ノ原がそれまで会わなかった訳など、全てが
                謎だらけだけに、最後の伏線回収でスッキリします。

                え、これも伏線だったのと、後で気づかされたものも

                ありました。筒井さん、赤木さん、いい味出してます。

                 

                野球小僧だった彼らならではの、特技とサインプレー
                も生かされていて、大人の冒険譚といった感じ。

                人の首が飛んできちゃったりするのですが、それでも

                子供の頃の冒険のわくわく感があるのは不思議です。

                相葉の楽天的気質のおかげかもしれません。

                たまに、井ノ原同様、ウザくも感じますが(笑)。

                 

                上下巻の最後に書き下ろされた 「ボーナストラック」 も
                上巻には本編の直前の出来事、下巻には本編から
                少し後の出来事が描かれており、こちらもお得感
                満載の、心温まる短編となっています。

                どちらかというと、男性の方が支持する人が多い内容と

                言えるかもしれません。


                本家より戦慄の 『だんなデス・ノート』

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                  ふぃ〜、何とか週明けUPのグルメ記事の構成がそこそこ決まり、

                  今回は撮影画像と提供画像混在ということで、TOPに持ってくる

                  画像に悩みつつも、何とか目鼻だけはついたかな、という感じ。

                   

                  原稿制作の時、この構成部分さえ決まってしまえば、あとは

                  ある意味、作業フェーズに入るので、取材記事のベタ打ちと

                  掲載する画像さえ決めてしまえば、な〜んとなく悩まずに

                  仕上げに向かって、ただ書きまくればいいので、ちょっと安心。

                   

                  と言っても、いつもはすでに取材に行って、お店の売りや課題を

                  うかがいつつ撮影するので、現場の段階でそこそこ漠然と構成が

                  決まるのですが、今回は提供画像もあるので、その兼ね合いに

                  少し悩んでいるのでした。でも、TOP画像さえ決めれば、きっと

                  他の画像が持つストーリーが無意識の内に頭の中で組み立てられ、

                  それなりの形になって降ってくるに違いないと楽観視しています。

                   

                  ついつい、今日の作業報告のようになってしまいましたが、

                  それではあまりに日記過ぎてつまらん、ということで、

                  先週、遠方取材に行く移動のお供に買った、恐怖の書籍について

                  書きたいと思います。

                  それは、近頃ウワサで聞いていた 『だんな デス・ノート』!

                  ユニークな発想の書籍が多い宝島社の本で、ネットの情報を

                  集めたものなので、著者はその象徴名ともいえる 「死神」!

                   

                  夫の不倫、ギャンブル、DV、異常な趣味、外面とのギャップ男、

                  子育て放置、妻が病気での入院も放置、借金、金銭にルーズ、

                  仕事が続かないヘタレ、加齢臭、風俗・セックス問題などなど、

                  妻側からの一方的な意見で、夫側の言い分があるかもしれませんが、

                  それにしても、社会人としての自覚がないっつーか、親から

                  甘やかされて育ったのか、かなりヤバい男たちの実態が

                  赤裸々に暴露され、トドメに呪詛の言葉で締め括られるという

                  何とも辛辣かつ戦慄の内容でした。

                   

                  書籍という紙媒体なこともあって、『DEATH NOTE』 感が

                  パワーアップしています。ただ、あまりに殺伐としないよう

                  配慮したのか、イラスト入りなのが救いかな?

                  ぜひとも、男性はこの恐怖の書籍をのぞいて、自分自身に

                  当てはまる事例がないか、チェックしてみましょう。

                  10個以上あったら、リュークのノートに、その名と死に方が

                  書き込まれるかもしれないので、要注意ですぞ!


                  子供の頃の夏休みを思い出す 『少年たちは花火を横から見たかった』

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                    『少年たちは花火を横から見たかった』(岩井俊二著、KADOKAWA刊)
                    を読みました。150ページくらいの本なのであっという間に
                    読めるのですが、巻末の 「短い小説のための長いあとがき」 や
                    作品自体、読後感に余韻が残って、映画よりストーリーは
                    楽しめたかも?

                     

                    『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』 の原作では
                    あるものの、「もしも」 のやり直しはなく、メインの流れを
                    少年たちを内面を掘り下げて丁寧に描いた作品です。

                     

                    小学6年生という、子供だけれど、思春期でちょっと背伸び
                    したい年齢で、バカやってる感じに郷愁があります。

                    その後の彼らがどうなったかも、少しだけ触れていて
                    まさに 『スタンド・バイ・ミー』 的な作り。

                     

                    ヤンキー予備軍の純一、好きだー!

                     

                    映画では、5人の少年の中でもあまり個性を感じられなかった
                    純一くんの第9章は好みの展開。一本気な純一とちょっと
                    理屈っぽい和弘は本来、それほど仲が良くないのに、
                    他の3人がそれぞれの事件に関わってしまったことで
                    花火を横から見るため、灯台に向かう道行がいかにも
                    子供らしいやりとりで微笑ましいのです。

                     

                    「早生まれで年下のくせに」 と虚勢を張る和弘に対して
                    ブチ切れ、大喧嘩というのも “あるある” な記憶が。
                    私の年になると、そんな数カ月なんてほとんど関係なく
                    なってしまいますけれど、子供の頃は生まれの1カ月差も
                    ヒエラルキーに大きく影響してましたっけ(笑)。

                     

                    ある意味、純一から見れば足手まといの和弘に苛立ちながらも、
                    彼が母親から託された、5人分のおやつや飲み物が重くて
                    歩く速度が遅かったことを知り、生温かくなった飲み物と
                    バナナを、憎まれ口をききながら、自分用の1人分だけ
                    律儀に持っていくエピソードに心温まりました。

                    彼のその後を語る説明に、ヤンキーになったというのも納得。

                     

                    一方で、映画の前日談となる、なずなが典道の家に、
                    両親の離婚問題で一時的に預けられるエピソードが
                    入っていて、なずながまだ子供らしさを残している
                    少年たちに比べて、大人びてしまった理由もわかります。

                     

                    それだけに、典道となずなの駆け落ちについては、
                    映画に比べて、二人のエピソードは少年たちの
                    花火大会の夜の出来事の一つとして書かれており、
                    比重は軽め。でも、このくらいがバランスいいかも?

                     

                    映画と決定的に違うのは、「もしも」 のやり直しが
                    ないことよりも、なずなから一緒に花火大会に行こうと
                    誘われていた祐介が、なずなの母親から夏休み中に
                    彼女が転校してしまうことを知らされること。

                     

                    もともと、なずなのことが好きだった祐介が、仲間との
                    約束を優先して、灯台に行くことを選び、なずなの件を
                    典道に押し付けてしまったことを詫びるかのように、
                    灯台から絶叫するシーンは、映画よりも感動できます。

                     

                    そして、実は5人ともいろいろな事件に巻き込まれて、
                    結局は花火大会の時間内に灯台にも着けず、花火見学
                    どころじゃない状況で終わりかな…と思わせておいて、
                    そこになぜか一発だけ上がる花火。

                     

                    その光景が、ドラマチックに作品のフィナーレを
                    抒情的に飾ってくれて、花火大会から後に少し疎遠に
                    なってしまう彼らの成長にも重なり印象的。

                    ぜひ、この原作のアニメを作ってほしい気がします。

                     

                    華やかなCGよりも、舞台となる海辺の町の風情を生かした
                    短編作品がいいなぁ。キャラは、『ひとりぼっちの
                    地球侵略』(小学館刊)小川麻衣子さんの絵が合うと
                    思います。また、小学生ベースなら、典道と稔、一応、
                    和弘も女性の声優さんがいいのでは。
                    編成期前後の少年たちがいることで、児童から生徒へと
                    成長する少年たちの違いも表現できると思います。

                     

                    私としては、映画の背景や表現の美しさは満足ですが、
                    作品の流れや少年たちの心の動きが描かれている
                    原作本の方が好きです。

                     

                    【関連記事】
                    ◇『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』 原作読むか?
                    http://nureinmal.jugem.jp/?eid=3310


                    『月の満ち欠け』 を読んだら清水玲子さんの 『MAGIC』 を思い出した

                    0

                      佐藤正午さんが第157回 「直木賞」 を受賞した作品
                      『月の満ち欠け』 をタイトルに魅かれて購入。
                      時間軸が過去に戻ったり、先に飛んだりするので、
                      タイムループ物ではないのですが、そんな錯覚にも
                      とらわれそうになる作品です。

                       

                      感動するか、面白いかと問われると、答えに窮しますが、
                      少なくとも 「先が知りたくなるか」 という点においては
                      「なぜ? これがどうつながるの? どこに着地点を持って
                      いくの?」 といったジグゾーパズル的な、構成面での
                      面白さは十分にあります。

                       

                      帯に「自分が命を落とすようなことがあったら、
                      もういちど生まれ変わる。月のようにいちど欠けた月が
                      もういちど満ちるように―そして、あなたの前に現れる」
                      とあって、とにかく何度も生まれ変わる分、そのために
                      「ちょっとこの人、死に過ぎでは?」 と思ってしまったのは
                      私だけでしょうか。

                       

                      純愛を描きたかったのであれば、時系列の方がわかり
                      やすいと思うので、瑠璃という女性について各章で
                      背景がわかっていくエンターテインメントに重きを
                      置いている作品なのでしょう。

                       

                      また、瑠璃という女性の内面よりも、その周囲の人、家族の

                      感情、とくに困惑に焦点を当てているといえばそうかも?

                       

                      「瑠璃も玻璃も照らせば光る」 というキーワードは、
                      タイトルとも連動していて、輝きを持つ言葉ではあるものの、
                      キッカケとなる不倫は転生して貫けば純愛なのかな?
                      と読む人の受け取り方次第で、かなり感動の振り幅が
                      違ってくるかと思われます。

                       

                      ラストは清水玲子さんの漫画 『MAGIC』 にも似ています。

                       

                      こちらも “水の中の月” という表現が出てきて、年上の
                      女性との不倫から始まり、自分のその女性の間にできた
                      子供を育てることとなり、その子を女性として愛してしまい、
                      禁断の関係に…と思ったら、SFなので予想外の事実を知り、
                      大団円かと思いきや、再び二人は引き離され、再開した
                      時には 『月の満ち欠け』 のような展開に。

                       

                      清水玲子さんの初期作品の中では、『22XX』 と、この
                      『MAGIC』 が切ない読後感で双璧ですね。
                      『月の満ち欠け』 に感動した人は、おそらく感動できる
                      作品だと思います。


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