ライトに 『上石神井さよならレボリューション』

2016.11.17 Thursday 04:54
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    漫画の舞台にはなるものの、ほとんど小説の
    タイトルにはならない西武戦沿線。

     

    『上石神井さよならレボリューション』(長沢樹著、
    集英社文庫)は、そうした不遇な西武戦沿線を
    舞台にした青春ミステリー。

     

    5本の短編が入っており、タイトルの西武新宿線駅
    だけでなく、西武国分寺線など、西武線沿線での
    野鳥撮影を行う中で出会った小さな事件を解明する
    ストーリーです。

     

    全て、何かが “消失” したり、“消失” と錯覚
    させられる “消失” テーマで、現場の図解入り。

     

    推理物としてはライトな内容ですが、登場人物が
    それぞれに個性豊かで、そうした学園生活や生物部が
    描かれていて、手軽に読めます。

     

    生物部と言っても、野鳥観察&撮影がメインなので
    武蔵野の自然を生かしている作品とも言えましょう。

     

    それぞれ沿線でも舞台となる場所は異なり、1本は
    神奈川県が舞台のものもあるのですが、タイトルに
    上石神井を選んだのは、おそらく彼らの学校が
    上石神井にあるという設定だからかと思われます。
    リアル上石神井近くには、早大学院(男子校)しか
    ないけどね(笑)。

     

    現在、続編も書かれているようですが、タイトルが
    どうなるのが気になるところです。

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    教科書掲載の名作 『一切れのパン』 でも記憶多々

    2016.09.28 Wednesday 23:10
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      昨日のブログで 『一切れのパン』 のことに触れた割に、
      覚えていたのは、神父さんだかがくれたのがパンではなく、
      実は木片だったという結末のみ。

       

      国語の教科書に載っていて、かなり感動した覚えがある
      のですが、詳細は微妙に曖昧でした。

       

      たしか、戦乱の中、逃亡中の主人公が神父さんだったか、
      牧師さんを助けて、その人から逃亡中で空腹になったら
      このパンを食べなさいと、布に包んだ固いパンをもらい、
      苦しい時も 「食べ物はあるから」 という安心感から
      パンを食べることはせず、頑張って逃げ切り、最後に
      包みを開けてみたら木片だったという内容だったような。

       

      そこで、ネットチェックしてみたら、やはりこの作品に
      感動して、よく覚えているという人たちが意外と多い
      ことを知りました。

       

      パンという言葉があったせいか、勝手にキリスト教の
      神父か牧師と思い込んでいましたが、戦乱のハンガリーが
      舞台となっていることから、恩人はユダヤ人のラビで、
      さらに主人公が彼を助けたのではなく、彼がユダヤ人
      だということを黙っていてあげたという展開でした。

      宗教自体が丸ごと違ってお〜る!!!

       

      どうやら、『ウイリアム・テル』 同様、今回は
      『レ・ミゼラブル』 と混在したストーリーを脳内で
      捏造していたようです。

       

      う〜ん、「捏造」 と言ってしまうとネガティブワードに
      なってしまうので、「アレンジ」 と呼ぶことにします。
      自己欺瞞でもなんでも、それでいいのだ!

       

      え? そんなんで取材の内容は大丈夫かって?

      もちろん、ノープロブレム!

      ICレコーダー様様がありますもの。

      結構、聞き直してみると、メモだけで書いたベタ打ちと

      内容違ってるんだよね、はっはっは!

      ICレコーダー様がある限り、取材情報はそこそこ正確な

      記事に仕上げられているようです。開き直りっ!


      【関連記事】
      ◇白い風船のように消えた空想力
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      ◇『掌の小説』⇒桜⇒『BOSSのCM』
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      ◇『ウイリアム・テル』 と 『おやゆび姫』
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      加賀恭一郎の謎も一つ解ける 『祈りの幕が下りる時』

      2016.09.24 Saturday 23:49
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        東野圭吾さんの 『祈りの幕が下りる時』(講談社文庫)
        を読み終えました。さすが、吉川英治文学賞受賞作だけ
        あって読み応えがあります。

         

        『新参者』『麒麟の翼』 に続く加賀恭一郎シリーズの
        日本橋編三部作の完結版とも言えます。

         

        明治座に幼なじみの演出家を訪ねた女性が殺され、
        その近くでホームレスの焼死事件も発生。
        2つの事件の関連を追う内に、なんと加賀恭一郎の
        母親の死ともつながるある物も発見され、彼の母が
        どういう人生を生きたかが明かされる必読の書。

         

        なぜ、演出家の母親らしき人物を受け入れた介護施設に
        働く女性が殺されなければならなかったのか、同時に
        いくつもの名を持つホームレスは一体誰なのか、迷路に
        人影を見つけてそこに行くと、その人影が消えていて、
        行き止まりになっている―そんな感じでグイグイと
        続きが知りたくなる展開です。

         

        それらの事件の原因となった事件は、『白夜行』『魔球』
        に流れる貧しさと哀しさ。
        『魔球』 が一番近いかもしれません。

         

        同時に、原発の作業員も関係してくることで、原発を
        支える底辺の人たちにも触れられています。
        「原発はねえ、燃料だけで動くんじゃないんだ。
        あいつは、ウランと人間を食って動くんだ。人身御供が
        必要なんだよ」 という元作業員の言葉が印象的でした。

         

        『麒麟の翼』 では、製造業にありがちな労災隠しを
        取り上げたように、こうした理不尽な環境で
        働かされる人たちを、人気作家がその存在を
        フィーチャーしてくれるのは、ありがたいことだと
        思います。社会インフラを支える人たちを意識する
        ことで、日々の快適な生活や “普通の生活” と
        呼んでいる毎日のありがたみを再認識できるからです。

         

        ラストの、恭一郎の母について書かれた、ある人物の
        手紙は、東野圭吾さんらしい浪花節調なのはわかって
        いるのに、思わず涙してしまいました。

         

        また、『新参者』『麒麟の翼』 と並べた場合、
        この作品はテレビより映画向きな展開。
        せっかくなので、2017年夏(七夕シーズン)に上映
        してくれるといいですね。読了した方には、ご理解

        いただけるかと思われます。

         

        【関連記事】
        ◇加賀恭一郎の新章突入といった感じの 『新参者』
        http://nureinmal.jugem.jp/?eid=361
        ◇まさしく傑作 『麒麟の翼』
        http://nureinmal.jugem.jp/?eid=875
        ◇晴勤雨読
        http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2937

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        スピーチライターという仕事 『本日は、お日柄もよく』

        2016.09.13 Tuesday 23:29
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          交通費節約のためにも、一度に数カ所の取材が
          できるようなスケジュールにしている分、待ちの
          時間が発生してしまいます。

           

          周辺に寺社仏閣など、何か観光的要素があるエリアは
          そうした場所に行って遊んだり、隣町くらいだったら
          足を伸ばして散策に勤しんでおります。
          時間潰しも仕事の内…。

           

          とはいえ、駅から離れた “純住宅街” の場合は
          (とくに高台)駅に戻るのも面倒なので読書。
          今回は、現地の書店で購入した原田マハさんの
          『本日は、お日柄もよく』(徳間文庫)を読みました。

           

          装丁のデザインが、お祝いの熨斗モチーフで、何となく
          気に入ったのです。またしても本をジャケ買い。
          http://www.tokuma.com/bookinfo/9784198937065

           

          日本ではあまり聞きなれないスピーチライターという
          仕事を取り上げたライトな小説です。
          ある結婚式に始まり、別の結婚式で終わる作品。

           

          内容については、裏表紙の説明程度にしておきますが、
          製菓会社の総務で働く主人公・二ノ宮こと葉は、
          幼馴染の厚志くんの結婚披露宴の来賓スピーチ中に
          居眠りして、スープに顔面ダイブという醜態を晒して
          しまいますが、同時にその結婚披露宴がキッカケとなり
          伝説のスピーチライター・久遠久美と出会い、
          その弟子になることに。
          こと葉は、ちょうど同僚の結婚披露宴で、スピーチを
          頼まれていたのです。

           

          同僚の結婚披露宴でのスピーチは成功。
          そのスピーチによって、総務で地味に働いていた
          こと葉は、新たに立ち上がった広報戦略室に異動。
          さらには、野党候補の参謀的立場になるため退社、
          なんと政権交代をバックアップする役割に…と、
          テンポよくストーリーが進みます。

           

          ちょっと 『フォレスト・ガンプ』 の原作に似ている
          気もしました。『わらしべ長者』 的な要素も。

           

          文体は、主人公のこと葉の一人称の軽い口語調、
          作品の見せ場となるスピーチ部分は読者に語り掛ける
          ようなスタイルとなっていて、メリハリもあります。

           

          また、読む人によって、響くところ、面白いところが
          かなり違うかもしれません。それが本作の魅力かも?

           

          たとえば、失恋から新しい恋へとつながるラブストーリー
          であり、天才スピーチライターたちによって育てられる
          シンデレラストーリーであり、タイトルからも予想できる
          ラストは大団円となるサクセスストーリーでもあり、
          いろいろな視点で読めると思います。

           

          どちらにせよ、言葉の重さ、言葉が人を動かす力を
          持っていることを考えさせられる一冊です。

           

          日頃、原稿書きで言葉を扱う仕事をする身としては、
          言葉一つひとつの選択や、同じエピソードでも展開
          次第で人の心を揺さぶる力を持つことをあらためて
          感じた作品でもありました。

           

          ちょっと都合良過ぎるじゃ〜ん!

           

          ただ、私としては、それぞれの感動スピーチに
          使われる、お涙ちょうだい的なエピソードが都合よく
          用意され過ぎているのがちょっと気になりました。

           

          ひとつだけ例に挙げると、花嫁が失恋して元気のない
          友人のために、挙式前の忙しい中、ブーケトス用の
          ブーケを2つ作って、1つをこと葉の家に自ら
          届けてくれるといったようなエピソード。微妙…。

           

          また、主人公の祖母が著名な俳人というのも、やや
          出来過ぎな感が。DNAと育った環境ありきな気がして、
          感情移入しきれないものがありました。

          もしかすると、私が文才がないひがみから来ている

          かもしれませんが…。

           

          あまり、深く考えず、主人公の環境の変化や気づきを
          楽しみながら読む距離感がベターかもしれません。

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          マイナビ2018オフィシャル就活BOOK〜内定獲得のメソッド

          2016.09.07 Wednesday 23:13
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            一足早く、「マイナビ2018オフィシャル就活BOOK」 がすでに

            出来上がっていました。

            就活に必要な 「自己分析」 や「エントリーシート」 などの

            各メソッドが、体系的にわかりやすく書かれています。

            何冊か出ているのですが、その中で必読ともいえるのが、

            この「業界&職種研究ガイド」。

             

            理系の人はある程度、学科やゼミを選んだ段階でそれなりの

            方向性があるかとは思いますが、文系の人はついついCMや

            ネットで有名な企業だけに目が行ってしまうもの。

             

             

            この本は、各業界の大手企業を中心に、業界の特徴、市況、

            業界の将来性、そしてそれぞれの業界ならではの職種や

            どういった業務があるかがまとめられています。

             

            転職希望の人でも、たとえば営業とか、経理とか、職種は

            ある程度決まっていても、前職と同じ業界にこだわらないので

            あれば、今後伸びそうな業界へシフトする際に有効かも?

             

            就活関係で、こういった業界と職種に関する書籍は多数

            刊行されますが、中でもこの本はGOODだと思いました。

            エントリーの前段階として、また就職活動のスケジュールを

            検討する上でも、この本である程度、自分が狙いたい業界や

            職種でを絞っておくと、短期決戦でも効率的に就活できます。

             

             

            「マイナビ2018オフィシャル就活BOOK」 は、カテゴリーが

            いろいろありますが、オススメのもう一冊はコレ!

            この 「面接担当者の質問の意図」 はそれぞれ質問の例が

            挙げられており、その質問を学生に投げかけることで、

            面接官は “その学生の何を知りたいと思っているのか” が

            説明されています。その質問自体の回答よりも大事なことが

            隠されていることも少なくない面接。面接官側の視点から

            見ることで、どういった態度・表情・言葉遣い・回答を

            すればいいのかが、つかみやすくなると思います。

             

            もちろん、そのためには自己分析をきちんとやっておくこと、

            どんな質問にも柔軟に対応しようという気合も大事ですが…。

            また、この本を読んでおくことで、自分が面接官から投げて

            もらいたい質問につながる、エントリーシートの書き方が

            見えてくるのではないでしょうか。

             

            「マイナビ2018オフィシャル就活BOOK」 を全部立ち読みして

            来ましたが(閲覧自由だったので…笑)、この2冊は自信を

            持ってオススメできると思いました。

             

            【関連記事】

            ◇中立・客観的な情報収集には 『就職四季報』
            http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2738

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            時々ヒヤリとする 『コンビニ人間』

            2016.08.23 Tuesday 05:11
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              第155回芥川賞受賞作品 『コンビニ人間』(村田沙耶香著、
              文藝春秋刊)を読みました。
              内容以前にまず、装丁デザインが気に入ったからです。
              う〜ん、でも帯はイマイチかな?

               

              ネタバレにならない程度にということで、帯に書かれた
              簡単なあらすじを紹介すると、「36歳未婚女性、古倉恵子。
              大学卒業後も就職せず、コンビニのバイト18年目。
              これまで彼氏なし。(中略)ある日、婚活目的の新入り男性、
              白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと
              突きつけられるが…」 とありますが、この白羽氏は家族に
              借金して、家も仕事もなく、コンビニバイトすらさぼり、
              口だけ達者という、ひと言でいえば単なる“だめんず”。

               

              それに対し、主人公の女性はアスペルガー症候群とか、
              発達障害らしき人物で、ある意味、共に “普通の人”
              ではないという共通点があります。

               

              とはいえ、彼女は幼少時代からの経験や、家族の反応を
              通して、自分が “普通の人” でないことに気づいており、
              周囲の人を擬態することで、コンビニという小さな社会で
              つつましく生きているのでした。

               

              マニュアルがあるコンビニが、“普通の人” らしく擬態

              するには、どう対応すれば良いかわからない彼女にとって、

              一番の安地なのです。

               

              自分で判断する必要が発生する事態においては、幼少期
              のエピソードとして、友達同士のケンカを止めるのに

              スコップで殴ったり、大人になってからのエピソードでは

              妹が赤ちゃんを泣き止ませるため抱く姿を見て、静かに

              させるだけならケーキ用ナイフがあるのに…という、

              思わずヒヤリとする表現もあって、そこらへんが

              芥川賞らしい作品と言えましょう。

               

              姉を気遣う主人公の妹や、発達障害が治ることを願って
              いる親、そして何となく主人公に不気味な違和感を感じ
              距離を置いてつきあう友人など、周囲の反応もそれぞれで
              主人公視点で進められる本作において、ある時は普通の
              世界の価値観が描かれていることにほっとしたり、ある時は

              周囲が彼女に浴びせる言葉を残酷に感じたりもします。

               

              そんなコンビニでしか生きられない主人公が、なんと
              だめんず・白羽によって、長年勤めたコンビニを辞める
              ことになる顛末も、白羽の “縄文時代論” 同様、奇天烈な

              理由で当然共感できませんが、作品としてはこの展開で

              いいのか?

               

              芥川賞作品は、結構、人間に内在する狂気を扱った
              ものが多い中では、意外と普通の人に近い主人公と
              “ありがちな” だめんずのストーリーでした。

               

              ただ、コンビニバイトの仕事内容や、コンビニ内の様子は

              漫画 『ニーチェ先生』 以上に臨場感があります(笑)。

               

              【関連記事】

              ◇介護テーマの 『スクラップ・アンド・ビルド』
              http://nureinmal.jugem.jp/?eid=2567
              ◇松駒くんのひと言が絶妙な 『ニーチェ先生』
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              千代の富士 「不撓不屈」

              2016.08.03 Wednesday 23:14
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                九重親方こと、元横綱・千代の富士が亡くなってしまいました。

                相撲はあまり好きではありませんが、千代の富士は好きでした。

                体も力士としてはそれほど大きくなく、腕の脱臼という爆弾を

                抱えつつも “一人横綱” としての孤高の存在が何とも…。

                脱臼をカバーするために鍛えた筋肉や、まわしを取られた時の

                切り返しなど、まさにウルフでカッコよかった。

                 

                あまりに好きだったので、私としてはめずらしく写真集まで

                買ってしまったほど。

                『不撓不屈〜1045勝への道のり』(日之出出版)という

                タイトルなのですが、この写真集のおかげで 「不撓不屈」 と

                いう言葉を知りました。

                「たまわず、くっせず」 という意味で、まさに千代の富士の

                土俵人生そのもの。とくに 「たわまず」 がいい!

                 

                それまで座右の銘の四字熟語は 「臥薪嘗胆」 だったのですが、

                その時から現在に至るまで、一位の座は 「不撓不屈」 と

                なりました。たわみっぱなしの私ですが、気持ち的には

                そうありたいと思っています。

                白鵬も好きだけど、私にとっては、やっぱり永遠の横綱は

                千代の富士だなぁ。ご冥福をお祈りいたします。

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                『夜を乗り越える』 は問題克服本より解答への近道かも?

                2016.07.04 Monday 03:28
                0

                  BOOKOFFでドバッと元ベストセラーが大量販売
                  されるか、文庫化をまって 『火花』 を読んで
                  いないにも関わらず、又吉直樹さんの著書
                  『夜を乗り越える』 を読みました。
                  何より、タイトルに惹かれたかも?

                   

                  小説ではなく、エッセイなので、読んでないけど
                  純文 『火花』 より読みやすいと思います。

                   

                  また、いつの間にか、やり手の吉本興業様は、
                  小学館とタッグを組んで 「小学館よしもと新書」
                  というプロジェクトを発足させていたのには
                  「さすが、抜け目のない難波商人。商売上手!」
                  と拍手喝采するしかありませんでした。

                   

                  会話調で 『火花』 刊行までの裏エピソードも

                   

                  で、本書で指す “夜” とは、自分の中の悩みや矛盾、
                  言葉にできない内面的な葛藤、他の人に比べ自分は
                  劣っているのではないかといった、曖昧模糊とした
                  “負” の心理です。

                   

                  それを克服するためには、自分一人の考え方でなく、
                  文学作品に登場する人物の中に、自分と同じ考えや
                  指向性をヒントに “夜” を乗り越えられる…
                  そんなメッセージが込められているように思われます。

                   

                  本書の前半は、又吉さんの子供時代からの悩みや
                  自分の中で相反する思いの存在、外的自分と内面の
                  ギャッブなどの具体例と共に、そんな悩みを本に
                  描かれている多彩な価値観にふれることで、一つ
                  ひとつの自分の行いや心の動きを分析。

                   

                  又吉さんの子供時代はやんちゃでありながらも
                  「子供がそこまで考える!?」 という根の暗さが
                  あって、そのアンビバレンツさはまさに芥川賞向け。

                   

                  とはいえ、今回はエッセイなので、シビアなテーマの
                  合間には笑いの要素や、関西弁の口語体でツッコミも
                  入っていて、サクサク読むことができます。

                   

                  辛辣な一面も!

                   

                  一方で、お笑い芸人が純文学を書いたことに対しての
                  周りの扱いや、芸人に対して発せられる “文化人”
                  という言葉には蔑称的な意味があることに対しては
                  かなり尖がった意見を述べていて、暗そうなだけでなく
                  意外と骨太なタイプなことを発見しました。

                   

                  後半は、彼が読んで影響を受けた本を紹介。
                  内容を詳しく書かず、その本の魅力をうまく表現して
                  いるテクニックには感心(なぜか上から目線)。
                  いろいろな作品が紹介されていますが、メインは
                  やはり太宰治。そして、文学にふれる第一歩と
                  なった芥川龍之介です。

                   

                  太宰作品も一般読者に向けて、中盤の明るめな時期の
                  作品を多めに紹介しています。ただ、短編の中には
                  一応、太宰作品は読破したと思っていた私も覚えて
                  いない作品がありました。

                   

                  おそらく、同じ著者の作品にふれても、響く作品、
                  何となく記憶から消えて行ってしまう作品が
                  あるのでしょう。

                   

                  さらに、又吉さんも語っていますが、過去には感動
                  しなかった作品も、読み返してみると 「なぜ以前は
                  こんなに名作なのに感動しなかったのだろう」 と
                  思うことがあります。私の場合は川端康成。
                  昔は嫌いでした。

                   

                  読書好きならではの楽しみ方も

                   

                  『夜を乗り越える』 の帯には、「なぜ本を読むのか」
                  と書かれているので、日頃、あまり読書はしない人が
                  ターゲットかと思われますが、本好きにとっては
                  又吉さんが紹介している本でネタバレしないように
                  書いてある部分がわかるので、本好き仲間としての
                  共感を楽しめる一冊です。

                  category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

                  哲学の難解さをあえて笑いにした 『考えすぎた人』

                  2016.07.03 Sunday 23:44
                  0

                    このところ、取材先までの移動時間が長いので、
                    車中で読書に励んでおります。

                     

                    大好きな清水義範さんの 『考えすぎた人』
                    (新潮文庫)は以前買ってはあったものの、
                    テーマが哲学なので、つん読状態でした。

                     

                    これまでに刊行されてきた国語や社会、理科の
                    雑学物とは一線を画しているのは、誰でも
                    とっつきにくい哲学がテーマだからかもしれません。

                     

                    哲学の紹介としては必然とも言える時系列に
                    数々の哲学者を、清水流にアレンジしてあって、
                    学生時代に名前と写真だけは頭の片隅に残って
                    いた哲学者のメインテーマを面白おかしく
                    読ませてくれる、これまでの勉強系作品の中では
                    秀作だと思いました。

                     

                    ソクラテス、プラトン、アリストテレスという
                    ギリシア哲学から、デカルト、カント、ヘーゲルなど、
                    対話形式、インタビュー形式、パスティース調、
                    哲学者らしい夫婦喧嘩、尾張三大英傑編といった
                    バリエーション豊かなスタイルで笑わせながらも、
                    たとえば有名な 「ソクラテスの弁明」「イデア論」
                    「ヘーゲルの弁証法」「カントの純粋理性批判」 と
                    いった学校でも学んで、何が何やらわからなかった
                    理論を不覚ではありませんが、核心部分をわかりやすく
                    思い出すことができる作品でした。

                     

                    若き日のアレクサンダー大王から見たアリストテレスや、
                    西原理恵子さんがモデルと思われるハイデッガーの
                    エピソードには笑えました。車中だったので、それを
                    周囲に悟られぬよう、下を向いて読んでいました。

                     

                    また、すでに破綻をきたした社会主義を予言した
                    マルクスについて教える教授と生徒の問答もNICE!
                    21世紀にこのテーマを取り上げるのはなかなか
                    チャレンジャーです。

                     

                    さらに、ハイデッガーとナチスとの関係について、
                    恥ずかしながら、私もあまりよく知らなかったので
                    多くの発見がありました。

                     

                    残念だったのは、実存主義の中でも、私が確かリポートの
                    テーマにしたキェルケゴール(死に至る病)が
                    取り扱ってもらえなかったことかな?

                     

                    笑いながらも、改めて、人類がどのように思想・哲学を
                    進化させてきたかを考え直すきっかけを作ってくれる
                    作品だと思います。

                    category:書籍 | by:まるたん | - | - | -

                    「逆聴」 したら、文章が頭に入ってこない!

                    2016.06.18 Saturday 23:29
                    0

                      先日、派遣会社登録の能力テストで、加齢による能力の低下を

                      痛感し、せめてその退化の進行を最小限に抑えるべく、

                      一時期はやっていたけれど続かなくて、つん読状態になっていた

                      「30日で脳を鍛える 『逆聴』リーディング」(篠原菊紀著、

                      田中孝顕監修、きこ書房刊)を今さらながら取り出して、

                      聴いてみました。

                       

                      4倍速の音声で読まれる文章を目で追っていく訓練です。

                      他にも、迷路を追ったり、ばらばらに配置されている数字を

                      順番に追ったりする、視界ベースの能力トレーニングの本も

                      あるのですが、そちらは数回やると場所をある程度覚えて

                      しまうので、2回目以降は初回に比べてルーチン化するため、

                      以前やってみて 「何回も使えるものではない」 と判断し、

                      投げ出しました(笑)。

                      まあ、全部、最低でも2回くらいはやりましたけど…。

                      能力UPまでにはつながらず。

                       

                      「逆聴」 は、高速音声を聴きつつ、その文章を目で追うことで、

                      視覚と聴覚を同時に働かせて脳神経細胞のネットワークを強化

                      するという仕組みだそうです。

                      前頭葉の強化に効果的とのこと。

                       

                      そういえば、速読も目の筋肉を鍛えて、広い範囲をスピード視

                      することで、読む力だけでなく、記憶力UPにもつながると

                      速読スクールに通っていた時、言われたような覚えが。

                       

                      少なくとも、通常のスピードより、早めに情報を入れて、

                      脳が必死についていこうとする訓練は、やって悪いことはないはず。

                      それに、「逆聴」 のテキストは、夏目漱石や宮沢賢治など、

                      日本文学の美しい文章がベースなので、このところ疎遠な

                      純文学にそうした形でふれるのも新鮮かもと思ってやってみました。

                       

                      あかん!

                      4倍速どころか、その前段階用に3倍速が用意されているのですが、

                      ついていけん! 確かに目で文字はそこそこ追えるけれど、

                      全く頭に入ってこないのはなぜ?

                      かなり、脳が錆びついていたことを改めて実感し、危機感を

                      ひしひしと感じた 「逆聴」 体験となりました。

                      まずは、3倍速に慣れるところからかな?

                      ってことは、謳い文句の 「30日で」 は 「60日」 コースかな?

                       

                      ただ、やっている時は 「ひぃいい!!」 と脳と目が音を上げる

                      のですが、終わった後の解放感はいい感じです。

                      いいのか、これで!?

                       

                      【関連記事】

                      ◇「逆聴」 トレーニング体験
                      http://nureinmal.jugem.jp/?eid=1120

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